7月 072019
 

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加計呂麻島から戻った大島で、翌朝を迎えた。

大島の初日は大雨で、走りも景色もほとんど楽しむことができなかったが、滞在最終日のこの日は、朝こそ雲が多かったものの、天候としては悪くなさそうだ。
陽が高くなりつつある時間、大島の北側、県道82号を北上するところからスタート。

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大島の北端に続く道は、穏やかな丘陵地帯を行く。
険しい山岳地帯がほとんどの大島では、この辺り一帯でしか見られない珍しい地形。優雅なドライブが似合うステージだ。

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あやまる岬

美しい海岸やビュースポットが集中する中でも、あやまる岬の知名度と眺望は随一かもしれない。
岬のパーキングは整備されており、芝の丘には洒落た建物のカフェ。
岬全体を取り巻くトロピカルな雰囲気は、南国の情緒たっぷりだ。

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県道601号〜602号で、大島最北端の半島を周遊。
あやまる岬から北側は交通量が激減し、離島の雰囲気が一層高まる。

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大島は人口も多く、意外と離島の空気感が薄いというのが、直感的な印象だった。
本土から遠く離れた離島というイメージもあってか、印象が増幅されていたというのもあったかもしれない。
そういった中で北端で出会った風景には、離島の最果て感が詰まっていて印象深かった。

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奄美大島にはその端々で、まったく異なった表情が潜んでいる。
それほどのボリューム感を感じるからこそ、愛車でのドライブは格別で、満足感が高い。
離島感が薄いというのは、目に見えやすい部分だけ。時間と労力をかけて訪れる価値は、十分にある。 

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赤木名で国道58号に入り、龍郷から県道81号に入る。
大島初日に西郷南洲翁謫居跡に向かった道だが、今井崎経由で半島を周遊して、名瀬に至ろうというプラン。
混雑するR58のバイパスと呼ぶには距離が長いが、その分、交通量は少なく、走りが楽しめる可能性は高い。

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2日前とは比べようもない好天。シーサイドラインの2車線路が、黒いオープンカーを島の奥へと誘う。

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岬を回り、シーサイドラインから内陸に入っていく。
景色は平凡になっていくが、反比例するようにコースはワインディング度合いを増していく。
交通量は思った以上に皆無に近く、エンジンを歌わせるには絶好のコンディションだ。

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名瀬の街を見下ろす丘の上に至るまで、爽快なワインディング・ロードが続く。
R58だけを走っていてもわからない、離島ワインディングの真髄が潜む極上ロード。
しかし、晴れ間の少ない奄美の空の下、走りたかったのはここだけではない。

R58を再び、古仁屋方面へ。この3日間で、何度このルートを往来していることか。
いま走りたいのは、R58ではない。 住用を過ぎて県道85号にスイッチ。

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宇検村の中心部、湯湾までは2日前に逆方向で走っているが、湯湾から先、北向きに行く県道79号は、この日のために取っておいたのだ。

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しばらくは入り組んだ焼内湾沿いの道。
複雑な海岸線をトレースするため、素早くステアリングを切り、無数のコーナーを抜けていく。

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延々と続くかと思われた標高0mの道は、いつしか山岳路へと変貌。
タイトなコーナーをクリアし、青空に向かってヒルクライム。
奄美の青空に、S2000宝玉の直列4気筒、F20Cの咆哮がこだまする・・・!

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素晴らしいワインディング。
奄美大島最高峰の湯湾岳と海に挟まれた山岳路は、予想以上に曲がりくねり、ドライバーを刺激する。 

加えて、どこまでも突き抜けるように青い海と空。陽光は澄み渡り、空気の淀みはまったくない。
透き通った景色に身を投げ出すようにして、目の前のコースに立ち向かっていく。

最高の景色に、最高のコース。
奄美群島の山岳島のワインディングには、凝縮された走りの楽しみと、ありのままの自然景観を堪能する楽しみの両方がある。
離島離れした走りのステージと、南国そのものの景色の存在は、奄美を極上の離島ツーリングステージとして君臨させていると言っても過言ではない。

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K79は大島随一のワインディングであり、ロングコース。
果ては名瀬の街。この日は朝が遅かったことから、既に時刻は夕方に差し掛かっている。

 

絶対的に走った時間は長くはなく、幾多の旧道、支線も走ってはいなかったが、続きは別の趣向で島を堪能してみよう。
エスを駐車場にデポし、名瀬中心街の散策を開始。 

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奄美における政治・経済の中心地である名瀬は、離島とは思えないほどの市街地を形成している。
アーケード商店街もしっかりとあり、本州の地方都市とほとんど絵的には変わるところがない。

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西日に照らされた町並みに、そこはかとない郷愁めいた空気を感じる。
ただここは、南の海に浮かぶ奄美群島の島。良くも悪くも、大島の中心部の南国らしさは薄味。

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街の中心部から北東のエリア、屋仁川通り周辺は、飲み屋が集まる歓楽街。
この日はまだ運転が残っているので一軒覗きに、というわけにはいかないのだが、興味を惹かれる店もちらほら。

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飲み屋に行く代わりに、レトロなカフェで一服。トロピカルなかき氷をいただく。

日中の刺すような日差しは鳴りを潜め、柔らかな西日が街を包んでいる。
奄美では貴重な晴天の一日が終わろうとしていると同時に、奄美を離れる時間も迫ってきた。

最後にもう一度、奄美の風景を目に焼き付けたい。
そう思って市営駐車場に停めていたエスに戻り、港を横切り県道81号へ。

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目指すは、名瀬を一望する展望スポット。急坂を登りきった先には。

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名瀬の港越しに街を見下ろす絶好の展望。
こうして見ると、歩くと広く感じた名瀬の街も、それほど大きなものには見えない。

展望台には人だかり。
それもそのはず、ちょうど夕日が沈む、その時だったのだ。

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見れば、まさに今、夕日が海に沈もうとしている。偶然にしては出来過ぎなこのタイミング。
偶然日没の瞬間に立ち会うのは、昨年11月の四国ツーリング、四国カルストでの瞬間が記憶に新しいが、またしても。

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四国カルストは山の稜線への日没だったが、今回は水平線に沈む夕日。
はっきりとした海の水平線に沈むのをこの目で見るのは、どれだけぶりだろうか。

夕日は動きを止めることなく、刻一刻と海原に身を沈めていく。
望遠レンズに交換する隙もなく、ただひたすらに、その一瞬一瞬を目に焼き付けた。

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グランド・フィナーレ。
奄美の旅は、その最後に相応しいか、それ以上の鮮烈な印象を残して、終わりを告げた。

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闇の帳に支配されつつある名瀬の港と町。

今夜、この港を出港する鹿児島行きのフェリーに乗り、島を後にする。
ほぼ丸3日間の間、島を堪能したにもかかわらず、やり残したことがたくさんあるようで名残惜しい。
いつかまた逢える時が来るのだろうか。

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丘を駆け下り、名瀬の港へ。
島の夜の闇は想像以上に視界を奪う。港周辺は真っ暗で、どこに乗り場があるか判別するのに時間がかかった。

ようやく見つけた切符売り場は、外の暗さからは想像もつかないほどの長蛇の列。しかも今夜出航の便は満席との表示が。
14年前、同じGWの旅で復路の便が大混雑で、寝るどころではなかった記憶が蘇る。
ただ、今回は帰りの便も予約済み。二等ながら指定席ということで、車輌乗船の手続きが済みさえすれば、問題はない。

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決して大きくはないマルエーフェリーの船体だが、低床車でも難なく乗用車用の甲鈑に居場所を確保できる点は素晴らしい。
車両自体はそれほど混まない航路だが、トラックが多く、船体が小さいので、やはり予約しないと不安が先立つ。

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マルエーフェリーの良いところは、二等でも指定席だというところもある。
しかも簡単な仕切りもついていて、内装も新しい。シャワールームもあり、意外と快適。
満席だという割には空いていて、出港後もすべての席が埋まることはなかった。

東シナ海に浮かぶ奄美群島から、一晩で九州、鹿児島に到着する。
時間で言えばそれくらいのものなのだが、やはり特別な地であることには変わりはない。

 

S2000で訪れた奄美の島々。
それは決して忘れることのない想い出として、これからずっと記憶の中に留まり続けることだろう。

 

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 Posted by at 3:24 PM

  2 Responses to “楽園の道、夢のおわり 〜陽の章”

  1. こんにちは。

    S2000で離島めぐりとは!

    ヒリヒリするような緊張感のある道を走ってるかと思えば、
    気持ちよくワインディングロードを駆け抜けてたり。
    満喫されてますね。

    先日、テレビで奄美・加計呂麻のことが放送されてましたが。
    1059さんは、ここに上陸して走ったのか!と感服いたしました。
    東洋のガラパゴスと言われているようですが、
    沖縄とも全然違う様子にちょっと驚きました。
    それにしても、
    S2000をラリーカーのように扱うアドベンチャーの1059さんには、
    ありとあらゆるところを走りまくってほしいものです。
    レポート楽しみにしてますね。

    P.S.
    マフラーを検討中なのですが、
    無限のマフラーをいろいろ検索したところ
    1059さんのブログがヒットしました!
    今更ながら熟読させていただいてます。。。

    • EK9の頃から離島ツーリングは、スペシャルなイベントとして企画しています。
      離島のドライブには独特の情緒が感じられるので、病みつきになっているのかもしれません。
      中でも奄美(と屋久島、利尻・礼文)は、アドベンチャー感が強烈。こういう場所を、敢えてS2000で走る。車体への負担は大きいですが・・・ラリーカーの宿命ですね(笑

      奄美大島&加計呂麻島は、面積の割には沖縄のように開発されていないところに魅力があります。
      歴史の変遷と地形的な特徴から生まれた、本土でも沖縄でもない特有の文化と生態系が、ガラパゴスと言われる所以ですね。
      ドライバー的には、南の島の風景とワインディングが一度に楽しめるという点に、圧倒的な魅力を感じます。

      今回はじめて訪れた加計呂麻島は、自家用車で渡ること自体が稀な場所なので、S2000の上陸はちょっとした事件!?(笑
      これからも今回のような体験を求めて、走り続けようと思います。

      無限マフラーの件ですが、通算2本使用した経験からすると、、まず見た目がいいです。
      個人的な印象ではありますが、リアビューの納まりが一番いいのは、やはり無限かと。あとチタンなので、汚れが目立たないのがいい(笑
      走らせるとパワー感が感じられますしね。

      音は重低音系で、小さくはありません。特に幌を上げている時は室内に音がこもるので、高速道路走行時なんかはストレスを感じました。
      シビック・インテグラの無限マフラーは、どちらかというとジェントルで大人しい性質でしたが、ことS2000となると、まったく逆です。
      経年劣化でどんどん音が大きくなっていったので、長持ちは期待しないほうがいいかもです。
      あと車高を下げていると、タイコがかなり低い位置になるので、普段乗りでも注意が必要ですね。

      過去のインプレはこんな感じだったでしょうか!?(笑

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