4月 052015
 

金沢で見るべきものとしては、ここまで紹介してきた古い街並みがオススメだし、実際それを目的に訪れる人も多いはず。
正反対に、現代の街や建物も楽しめてしまうのが、金沢の奥深さです。

保守的な古都だった金沢は、少し前まで見るべき現代建築はほとんどありませんでした。
隣県の富山県はそこんとこには熱心で、正統派からアバンギャルドまでいろんなのが揃っているんですが、京都みたいに新しいものを受け入れる土壌のない金沢は、いつまでたっても古いまま。繁華街だけが街の移り変わりを語る、みたいな都市でした。

そんな保守的な空気の中で、突如宇宙船でも降り立ったかのようなインパクトで生まれた建物があります。

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金沢21世紀美術館

その存在感たるや圧倒的で、開館以来、国内有数の知名度と来館者数を誇るハコモノならぬバケモノ施設。
美術館に対する既成概念を打ち破って、金沢の中心部に現れたのが、21世紀美術館です。

正円の平面計画に美術館の機能をとにかく押し込んで成立させた強引さに度肝を抜かれますが、実は建築的に目新しいのはそのくらい。
建物として美しいかと問われても、プロポーションという概念が無いので評価すらできない。
ディテールなんてあってないようなもので、考えることすら放棄しているかのようにも見えてしまう。

じゃあ一体どこが素晴らしいのか。

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21世紀美術館は、いつ行っても常に活気に満ちている。そして、思い思いに芸術を楽しめる雰囲気がある。
老若男女、様々な人がカフェにでも行くような感じで、ちょっと立ち寄ってみたという風情で鑑賞したり、ただ何をすることもなくのんびりと時間を過ごしてたり。

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この美術館とは到底思えない独特の空気に、この美術館の新しさがあります。
計画当初から、地域の中でどう位置付けていくか、どう使われていくのかを徹底的に議論した末に生まれた美術館。
金沢市内の小学生は全員、この美術館で鑑賞授業を受けるようなことも聞いたことがあります。

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また、立地的にも、兼六園と繁華街のちょうど間に位置することで、都市構造の中でハブ的な役割を担っているっていうのも面白い。
正円の形を活かして、あらゆる方向から敷地と建物にアプローチができるので、そこにあるだけで人の流れに変化が生まれる。

都市構造上重要な結節点の役割を担いつつ、地域にグッサリと根差したプログラムがあらかじめ練られた美術館。
ここにこの美術館の今までにない新しさと、大いなる価値があると考えています。

企画展の質とか、維持管理とか、もう少し頑張ってほしい面はありますが、そこで起こっているコトを見るのが楽しくて、幾度となく訪れてしまう場所です。

・・・・・・・

金沢で見てみたい現代建築のトップは押しも押されぬ人気の21世紀美術館ですが、もう一ヶ所オススメの建築があります。
こちらは美術館とは正反対に、静寂の中でゆっくりその空間を楽しむことができる。まだあまり知られていないというのもありますが。

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鈴木大拙館

21世紀美術館から少し南に歩いた所、県立図書館や博物館の裏手の目立たない場所に、鈴木大拙館はあります。
ホントに目立たない所にあり、駐車場もないので、クルマは金沢歌劇座に停めます。そこから数分ほど。
鈴木大拙というこの地に生まれた仏教哲学者の名を冠したこの建物、訪れてみるとかなり不思議な施設です。

というのも、一般的な「◯◯記念館」同様、鈴木大拙という人物の紹介はあるものの、大半は「何もない」空間。
何もない、でも意味ありげな空間に身を置いて、訪問者自ら思索を巡らす。
知り学び考える。そのための空間を意図し、コンセプトとしてデザインされてるんです。

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回廊で繋がる展示空間。その回廊を歩くこともこの建築の楽しみ。

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それとなく配置される、しっとりとした庭園にも癒やされます。

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「水鏡の庭」を眺める回廊は、この建築のハイライト。
周囲の森と建築と空のコントラストに、いつまでも身を委ねてしまう。

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池に浮かぶ立方体の箱の中にも、これといって何もありません。
ただひとつ、頭上に穿たれた丸い穴を除いては。

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ここで何を感じようと、何を考えようと自由。
静寂の中で、ただ時の流れに身を委ねるのも悪くない。
走り続けるだけの日常の中で、立ち止まって考える事で気付くことがあるかもしれません。

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そんな気にさせる「場」を生み出せるのが、建築の面白いところです。
21世紀美術館のように、都市の中で様々な役割を担わせることができるのも建築の魅力ですが、空間によって人の心に作用することができるのも、建築の力のひとつ。
そんな2つの現代建築が揃って味わうことができるのも、金沢の魅力だと思います。

 

(オマケ)

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鈴木大拙館から図書館裏までの小径もオススメ。
真夏の写真ですが、暑いけど気持ち良かったです^ ^; 

 Posted by at 3:27 PM
3月 252015
 

R style的金沢探訪、まだしばらく続きますので、どうかお付き合いを。。
 

浅野川界隈

金沢市街には2本の大きな川が流れています。
西を流れる犀川、東を流れる浅野川。
犀川は別名「男川」、浅野川は「女川」と呼ばれる辺りがまた、いかにも風流な金沢らしい。

女川と呼ばれる浅野川は、その名の如く静かで穏やかな表情の川。
その女川の界隈では、その川の流れのイメージ同様、繊細で可憐な街並みを楽しむことができます。

市中心部からひがし茶屋街に向かう際に渡る浅野川大橋(国道359号城北大通り)の上流側には、梅の橋という木造欄干の橋があります。

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卯辰山と金沢町家を背景にした橋の景観は、まさにザ・金沢。金沢独特の景観のひとつ。
更に浅野川大橋の下流側には、似たような橋で中の橋があり、こちらも必見。

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先のひがし茶屋街で出てきた泉鏡花「照葉狂言」の舞台、らしい中の橋。
この橋ともうひとつ下流側の小橋には、幼少の頃よく散歩に来ました。(実家がこのすぐ近くにある)
この界隈は自分のとっての原風景であり、大きな影響を受けた都市空間なのです。

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主計町茶屋街

その浅野川の河岸に寄り添って立ち並ぶ、金沢3つ目の茶屋街が、主計町(かずえまち)です。

主計町は、ひがし・にしの茶屋街ほどの知名度はないかもしれませんが、もっとも風情豊かで、往時の趣も残しているのではないかと個人的には感じています。
川沿いという立地条件がまた格別。優しい流れの浅野川と石畳。過剰な演出のない、ありのままの町家の街並み。
マイナーがゆえに、変に観光地化されず、程良く保存に注力されている程度がちょうどいい。見て歩いて全く違和感なく感じられ、それでいてしっとりと心に残る街並み景観がここにあります。

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メインストリートは浅野川の河畔。柳の並木も実に程良い。夏になると、京都ばりに川床も設置されます。
川が見えるこの通りもイイんですが、主計町にはもうひとつの表情が。

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それが町家と町家の間に毛細血管のように通る路地。
非常に小さな茶屋街なので数は少ないですが、その1本1本に、独特の趣があります。

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路地を歩いていると、突然坂が現れたり。
三次元に展開する狭小路地空間の魅力には、訪れる度に悶絶します。
こんな空間にゾクゾクしてるのは自分だけでしょうけど(笑

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お茶屋街なので、一見さんお断りのお茶屋や高級料亭ばかりで、建物の中身には縁がないとずっと思ってきましたが、最近ではそうでもないようです。
ただそうは言っても、ひがしに比べるとマイナーで、観光客向けの気軽なお店はほとんどないのは事実。
それがゆえに静かに街並みを楽しめるわけですが。

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観光客向けの店がないということは、素の金沢を楽しむことができる可能性が高いというのも、主計町の魅力。
老舗料亭はそこそこのお値段ですが、手が届かないわけではありません。一度は入ってみたいお店はいくつもあります。

そんな有名店も良いけれど、主計町でオススメのお店を紹介するならば、敢えて歴史の浅いこのお店。

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「嗜季」

主計町茶屋街のメインストリートに面する、小さくて質素な町家。隠れるようにしてこのお店は佇んでいます。
外見は何も手を付けていないかのようですが、内部には大胆に改修しながらも、町家の空気感を上手に残した空間を携えています。

このお店では、季節の食材を生かしたコース料理がメイン。
薄暗い空間の中で唯一照らされたカウンターで、若いご主人が料理に腕を振るいます。
伝統的な加賀料理にこだわらず、金沢で手に入る季節の食材を使って、金沢らしい感性で食を楽しませてくれる「ニュー割烹」(?)

そんな自由なスタイルの料理を、モダンな感性で再構築した町家空間で味わえるというのがいい。
料理は手が込んでいて独創的。見た目も美しいのは、料理同様コダワリあると思われる器の影響も大きい。
カウンターに座り、白ワインを傾けながら、若いご主人との会話を楽しみつつ、食と空間を一度に楽しむ。金沢にありそうでなかったお店。

主計町の街並みにひっそりと佇む、隠れ家的存在です。
 

「嗜季」HP
http://www.shiki-inc.com/shiki/

 Posted by at 11:39 PM
3月 182015
 

「にし」と「ひがし」の茶屋街の街並みは、ある意味金沢観光の王道とも言え、ヨソイキな側面は否めません。
街並みを散策していて本当に興味深いと思えるのは、飾り気のない普段着の風景にあることが実は多い。
今でもそこには生活があり、それが世代を超えて継続している場所にこそ、その土地独特の風情が生まれる。
短時間では到底成り得ない深みは、何物にも代え難く、それがかけがえのない歴史文化へと昇華していく。そこに都市空間としての本当の価値があるのではないかと思ってます。

観光地から一歩離れて、普段着の街角風景を求めて金沢を歩いてみると、そんな表情に出会うことができます。

 

東山(卯辰山山麓)

東山とは、ひがし茶屋街のある町名。ですが、ここで挙げる内容は、茶屋街以外の「東山」の光景です。
金沢市街の東部に位置する卯辰山の山麓辺りが、ここで紹介する東山/卯辰山山麓エリア。(国道359号と浅野川と卯辰山に囲まれた辺り)
京都にも同様に東山がありますが、位置付け、感覚的に、京都とそっくりかもしれません。

その金沢の東山には、お寺がもの凄く密集してます。その数、おおよそ50(!)にも上るとか。
金沢、つまり加賀の国は、一向一揆の国であり、その対策(城下の防御)として江戸時代に、この地に寺院が集められたと聞きます。
飛び抜けて有名なお寺はないですが、それらが密集することによって、古都らしい迷宮的な街並み空間が、入り込む者を楽しませてくれます。

ほんの一部に過ぎませんが、その雰囲気を感じ取れる写真を垂れ流し的に貼ってみます。

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寺院と町家が混在する街並み。
最初は意図的に集められた寺院群ですが、歴史の流れの中で街と同化し、独特の魅力を持つ都市空間を形成しています。

そこには過剰な飾り付けも商売の匂いもなく、ただそこに存在することで形成された空間があるだけ。
でもそれこそが、かけがえのない価値なのでは。

こういった普段着の金沢が、金沢で一番魅力ある風景だと思っています。

 Posted by at 1:18 AM
3月 152015
 

金沢を紹介すると言いながら、書いてるヒマもなく一週間が経ち、先に新幹線開通してしまいました(笑
まぁいいや。気を取り直して。 

・・・・・・・

金沢に来たら、まずどこに行ってみようと思いますか?

大抵の方は、兼六園と答えそう。もちろん兼六園は素晴らしい。
ただ僕的視点で金沢と言えばコレだ!とオススメするとしたら、やはりそれは街並みということになります。

京都のように大きな古都ではないものの、京都同様に戦災を受けていない金沢の街は、戦前の街の骨格と風情をそのまま残しています。
ただ、北陸の中心都市としての機能や、クルマ社会に対応するための交通インフラ優先の計画によって、過去の名残りが徐々に減っているのも事実。
今回の新幹線開通による駅を中心とした街区整備が重なって、街の重心があちらこちらに点在し、それぞれが違う表情を見せる都市になっています。

歩いて楽しいのは、古い街並みと一部繁華街。
金沢の場合、これに市場が加わるわけですが、ひとまず古い街並みを紹介しときましょう。
観光ガイドには必ず乗る有名な観光地ばかりではありますが、これを語らず金沢は語れないので。。

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にし茶屋街

金沢には3つの茶屋街が残っていて、そのうち犀川の西側、北鉄野町駅の近くにあるのが「にし」です。
近年はかなりキレイに整備され、その整備具合が度を過ぎた感じで、年月の経った風情より新品の匂いのするキレイさの方が目立っている感じが・・
そのせいなのか、単に中心市街地から離れているからなのか、いつ行ってもあまり人通りがありません(^ ^;
その分静かに散策できますけど。

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スポットとしては、甘納豆で有名な「かわむら」のお店があります。
有名なんですが、にし茶屋街の本店以外に店舗がないので貴重。(ホームページすらない)
金沢らしい可愛くて上品な豆菓子は、女性へのお土産にすると本当に喜ばれます。。

ちなみに、同じ豆菓子でオススメなのが、「まめや金澤萬久」。
和菓子処である金沢らしさ全開のお菓子です。こちらは市内デパ地下、駅地下でも買えます。 
同じく女性へのプレゼントにぴったり。金沢の名品は、女性ウケするものばっかです。コヤジの皆さん、覚えておいてください(笑

 

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ひがし茶屋街

「にし」に対して「ひがし」の茶屋街は、兼六園と並び金沢を代表する観光地で、多くの人が必ずと言っていいほど訪れる場所。いつ行っても大勢の観光客で賑わってます。
「にし」よりも景観配慮が徹底していて、いわゆる「茶屋街」の風情を色濃く残しています。
現在では現役で茶屋を営んでいる店はごく少数なので、ほとんどは観光向けの店舗に改装されているんですが、雰囲気は保たれていますね。ゆえに歩いていて楽しいです。

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ひがしに来たら訪れて欲しいのが「志摩」。保存された金沢茶屋の内装を見学できます。
お茶屋遊びという浮世離れした世界を覗くわけですが、茶屋風情というより、金沢町家の空気感とかスケール感を体感できるのがいい。
小さな空間に粋なディテールが散りばめられた建築に落ち着きを感じるのは、幼少の頃、金沢町家に触れていたことが自身の原風景として根付いているからでしょうか。

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同様に、内部見学が可能な保存建築として、「懐華樓」があります。
こちらは現役のお茶屋。夜になれば一見さんお断りの世界が繰り広げられている場所を自由に見学できるわけです。
いきなり漆塗りの現れたり、いい意味で華やか(言い方変えると派手)です。まぁそういう世界ですから。

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でも群青色の京壁の部屋は、空間として素晴らしい。大胆な色使いですが、恐ろしく深みがあります。必見。

これらは建物見学の例ですが、金沢はあまり伝統的な町家を見学できる所がないので貴重。
って言ってもお茶屋なので、一般庶民的な町家ではないですが、スケール感などのエッセンスは感じられると思います。 

それから、ひがしには本当にお店が多い。行く度にどんどん増えてるような気がする。
多くは観光客向けの店です。ある意味、ひがしに来れば、金沢らしいモノにひと通り出会えるみたいな。
そういったお店に入るかどうかは、旅の目的にもよるのでお任せします(笑

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街並みは魅力的なので、用もなくそぞろ歩きますが、一度でいいからエスで乗り付けてみたい(笑
昼間は車両進入禁止。やるとすれば早朝でしょうけど、、一度も実現できてません。
周辺には駐車場も少なく、クルマで訪れるには難儀します。東山のコインパーキングはいつも一杯なので、オススメしません。
自分はいつも、浅野川渡った側の橋場周辺か尾張町周辺のパーキングに停めて歩きます。安いし近いし、他のスポットへのアクセスも良いです。 

ひがしは語れることが多く、書けば書くほどどんどん出てきて長くなってしまう。
キリがないので最後にひとつだけ。夜のひがし茶屋街。

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あんなに賑わっていたひがしも、日が暮れると人通りもなく静かになります。
お茶屋街は本来、夜がメインの街なので日暮れからが本領なのですが、先の観光客向けのお店が閉まってしまうし、市内を循環するバスが18時くらいまでしかないので、あまり歩いている人はいません。静かな茶屋街を楽しむなら、薄暗いくらいの時間帯が実はオススメだったり。。

お茶屋には行けませんが、個人的にはそれより楽しめる夜のお店が、茶屋街の一角にあります。

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「照葉」

一見何の変哲もない町家ですが、にじり口のような入口から中に入ると、ほっこり暖かな空間。ひがし唯一?のワインバーです。
店主である女将は元芸姑さんで、物腰艷やかではんなりした金沢弁が素敵なお方。店の名前は、金沢ゆかりの作家、泉鏡花の「照葉狂言」から、と聞いたようなそうでないような。。
素敵な女将や、隣り合った地元の方と打ち解け、ついつい時間を忘れて飲み続け、いつも記憶が断絶してしまう(笑
ひがし茶屋街の本来の艷やかでゆったりとした魅力を味わうことができる、貴重なお店です。

 

(あんまりに長くなってきたので、街並み探訪は次回に続きます)

 Posted by at 10:35 AM
3月 082015
 

2015 03 08 01

三度のメシよりドライブが好きな皆様にはあまり興味のない話題かもしれませんが、、今週末(3/14)に北陸新幹線が開業します。
長野〜金沢間が運行開始となり、東京〜金沢間が2時間半で移動可能になります。
東京から金沢まで、ほぼ同じルートを通る高速道路で約5時間はかかることを考えると、移動時間は半分程度。新幹線恐るべし。

なんでこんなことを書き始めたかというと、実はワタクシ、北陸(富山県)の出身。(プロフィールには書いてますが)
東京から移動時間的には指折りの遠方で、存在感も薄かった我が故郷の北陸地方がこれほどまで注目されたことは、いまだかつてありませんでした。新幹線効果は凄まじい。
とは言え自分の場合、地元に帰るのは100%クルマなので、直近で新幹線にお世話になることはないんですけどね。

北陸へのTouringといえば、能登半島を舞台にしたレポを2編ほど作った記憶があるだけで、その他は紹介したことがない、はず。(立山と剱岳はトレッキングレポだったし)
特に金沢は、実はこれまでエスで何度も訪れているのに、一度も紹介したことがないんですね。
金沢は京都と同じく、クルマを置いて移動するケースがほとんどですから。

ただこの金沢という街、新幹線効果で変貌を遂げながらも、大人になればなるほど味がわかって楽しめる良さを残す、侮れない街なのです。
大都市から交通的に遠く離れていたことが、独自の成長を後押しした感があり、独自の文化を保ったまま、とても魅力的な街に育っています。
新幹線が開通したら、今まで金沢を知らなかった人が訪れるようになって、その魅力に気付くことでしょう。

そんな楽しみな気持ちの反面、これまで「都会から遠い田舎の地方都市」であり続けた金沢が、他の新幹線が通じた都市同様、アクセス面で「都会(東京)の一部」になってしまうことに寂しさを抱いているのも事実。
そんな複雑な想いを抱きながら、新幹線開通2週間前の先週末、アルファGTを駆り北陸へと向かいました。
最後の「遠い金沢」を味わうために。

今までレポートすることのなかった金沢を、改めて振り返ってみるには、新幹線開通は良いタイミング。
これまでに溜め込んだ写真も使いながら、その一端を短編シリーズで紹介していきたいと思います。

 Posted by at 10:12 PM