3月 072013
 

2013 03 07 01

伊勢神宮内宮、宇治橋前。
俗世と神域の境界が目の前に。 

伊勢志摩ツーリングのもうひとつの目的は、伊勢神宮。

20年に一度の式年遷宮を迎える前に、行っておきたかったというわけ。

三重県在住時代に何度も訪れたことのある神宮。
昔は神社のひとつという感覚に過ぎなかったのが正直なところ。その後、建築や日本文化に興味を持ち出してからは、非常に特別感の強い存在になった。

前回の遷宮から早20年、時の流れを感じながら改めて参拝してみよう。

2013 03 07 02

内宮参拝は、五十鈴川を跨ぐ宇治橋を渡るところから始まる。
宇治橋は正殿に先駆けて、既に架け替えられている。
そう、宇治橋も遷宮の対象なのだ。 

広々とした参道を、最奥の正殿まで歩いていく。
早朝の参拝だけに、参拝客はまばら。いつも多くの人で埋まる参道。こんなに広々と感じるのは初めてだ。ただでさえ今年は遷宮の年。昼間になれば全く異なる雰囲気になるだろう。

2013 03 07 03

荘厳と表現するに値する締まった空気感。凛と直立した巨木たちが、俗世から来た人間たちを見定めているかのようだ。
ちなみに内宮の前に、外宮に参拝するのが正式な参拝作法。前日の夕方に外宮に訪れ参拝し、ちゃんとした?参拝手順を(初めて)踏んだ。

内宮再奥の正殿に祀られるのは、天照大御神。
神様がおわす正殿は、俗世の我々から見ることはできない。

その正殿のある大宮殿は、まるで結界が張られているかのような領域。目に見えぬ、近寄り難いほど凝縮したパワーが漂っている。

2013 03 07 04

正殿などの主要な殿舎が建つ大宮院は、持統天皇の時代からおよそ1300年もの間、20年に一度、途切れることなく建て替えられてきた(正確には、戦国時代にしばらく途切れたらしいが)。この一連の建替行事を式年遷宮という。
おそらく日本最古の建築様式が、遷宮という行事を通して脈々と受け継がれているのだ。

驚き、そして感銘を受けるのが、モノとして形で残すのではなく、20年に一度解体し、新たな材料で建築し直すことで、その精神や技術を継承するというコンセプトだ。世界中を見渡しても、こんな風習はまず他にないだろう。
木造だからという文化的背景もあるだろうが、建築を形ではなく精神で永続させるという感覚は、神的なものを崇拝してきた日本ならではの文化であると思う。

この神秘性が、古来から多くの人を常に惹き付けている理由なのかもしれない。

2013 03 07 05

現在の大宮院の隣では、新しい神様の住処の建築が進められている。

式年遷宮は、その年に全ての立て替えが行われるのではない。
今回の遷宮に関しては、平成17年に天皇陛下の命で準備が始められ、おおよそ8年。
その間、様々な神事を経ながら、最終的にご神体の引越しがこの秋に行われる大イベントなのだ。

参道からほんの少し見えた新しい正殿は、白く光り輝いていた。
分厚い茅葺きの切妻屋根を交差部で支える棟持柱、棟の上に並ぶ堅魚木、破風が屋根を突き破って天を差す千木。日本最古の建築様式、神明造による建築が、この先20年間この地に建ち、20年後にまた今建っている場所に再建築される。

理屈では説明不可能な超精神的な真の文化がそこにはある。
そういった背景があることを知っておけば、式年遷宮の年でなくとも、この地で時空をも超えるような神秘性を体感できるだろう。

 Posted by at 1:20 AM