11月 162013
 

2013 11 16 01

R10に戻って南に行くとすぐに美々津の町がある。
その語感が耳について離れず、訪れてみようという気になった。
油断していると通り過ぎてしまいそうな入口から、古い町並みへと入っていく。

ひっそりと佇む家並みを深く鑑賞するには、いったんエスを降りた方がいい。
近くの海水浴場の駐車場にエスを停めて、徒歩での散策を楽しむことにする。

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静まり返っている。クルマも人も、全く見えない町並み。
今日は確か日曜日。歴史的建造物保存地域に指定されながら、この状況たるや、何か事でも起こったのかと勘繰りたくなる。

もっとも、こういう飾り気のない普段着の状態でこそ、その魅力を十分に感じることができると思うのだが。

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お店すら一件も見当たらない状態で、本当にどこにでもあるただの港町の様相。他と異なるのは、漆喰の白壁と銀鼠色の瓦屋根で構成された家並み。
いい具合に風化が進んでいて、なんとも言えない味がある。

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中には本当に廃屋になっている家もあり、その荒廃した状態がそのまま町並みに突き刺さっているのがまたシュール。

曇り空の下、日向灘から吹き付ける強めの風が、廃れた町並みの雰囲気を一層押し上げる。
自然発生的に立ち並んだ結果であり、作りこまれた感じは全然ない。にもかかわらずこの統一感。
加えて、賑わいとは無縁なこの空虚感が、あたかも映画のセットの中にいるかのような気にさせてくれる。

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路地裏にも一本筋の通った文脈を見る。

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裸のままの生活感とでも言おうか、こういう背伸び感の全くない上で、特有の風土から成り立つ空間がそのまま残っていることが奇跡的だ。
こういった人知れない風景に会うことも、旅の楽しみのひとつである。

今回もそういう場所を、またひとつ探し当てられた。旅でしか得られないこの経験が、やがて自分の中の財産となるのだ。 

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 Posted by at 12:52 AM