1月 082012
 

2階が山小屋のロビー、あるいは大食堂みたいな位置付けだとすれば、ロフトは屋根裏の寝室みたいなイメージです。
皆が共に時間を過ごす大部屋に対して、完全プライベートな秘密の空間のような・・(実際は山小屋は基本的に雑魚寝ですが^ ^;

そういったイメージで設定したロフト空間なので、リビングの吹き抜けに付随するような、いわゆる「ロフト」とは少し趣を異にしています。ロフトというより屋根裏部屋って感じ?その他の生活スペースからは隔絶され、言われなければこの空間があることすらわからないような、文字通り秘密の部屋を設けています。

屋根裏とか秘密の部屋、って響きにドキドキした経験はないですか?
子供の頃、秘密基地と称して遊んだ記憶。それはまさにR style Houseのイメージ、「基地」「山小屋」から連想するイメージそのもの。
そんな空間を、この家の最上部にこっそり組み込んでいます。

・・・と、いかにもコンセプトからすんなりと設定されたかのようなこの秘密の部屋ですが、実際は計画する上でかなり紆余曲折あった空間でもありました。

そもそもロフトではなく3階にしてしまった方が汎用性が上がりましたが、3階建にすると条例で近隣説明の義務が発生して面倒だし、街並みや外観的にもバランスが取れない(周辺一帯の家はほぼ2階建)。
秘密部屋を納戸として使用する前提から、1階と2階の間に設ける(この場合「ロフト」と呼ぶより、ミサワホームの商品から「蔵」と呼ぶのが一般的、かも)というプランも相当検討しましたが、結果的には屋根裏部屋的な空間にすることに落ち着いています。

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【ちょっと豆知識】
ロフトを2階の上に設けるのと、3階建にすることの違いは何か。
一般的にロフトとは、法的に階に算定されない床を言います。階に算定されないためには、平均天井高を1.4m以下にすることが条件になります。つまりロフトとは、 立って歩くようなことが難しい空間を言うわけですね。

階に算定しない、ということがどれだけ意味を持つのか。法的に木造2階建と3階建では、かなりの違いが生まれます。
代表的なところでは、3階建は構造計算が必要になります。逆に言えば2階建は必要無く、設計者の責任という名目のもと、法的な確認は免除されます(それはそれで問題がないわけではないですが)。それだけ木造3階建は特殊で、コストも労力もかかる形式なんです。だから、2階か3階かというのは、土地の形状、属性とコストバランスを十分考慮して定める必要があります。
ちなみにR style Houseは法的には2階建ですけど、構造計算を行って、それに基づいて構造計画しています。

その他にも、都市部に見られる準防火地域(R style Houseの敷地も該当)では、木造3階建はワンランク上の準耐火建築物という規定に則った仕様にしなければならないなど、いろいろ足かせ(コスト的な面も含めて)が発生してきます。

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1階がcar pitのため許容床面積に余裕がある(「駐車場」はある一定の割合まで容積率対象の床面積に算定されない)ので、面積的には3階建にすることは可能。準耐火建築物にして近隣説明をしてしまえば3階建も無理ではありませんでしたが、最終的には高さ制限との兼ね合い(外観的に奇形になってしまう)とコスト面の理由でヤメておきました。

というふうに実際にはロフト空間は、コンセプトからくるイメージとは別次元で、かなり法的な背景から導き出されています。
実際の用途は、寝室と納戸を予定しています(予定してるだけ。生活スペース同様、いろんな状況に対応できる空間であることが前提だから)が、なんせ天井高が1.4mしかないわけで、空間の雰囲気が想像つかないのが正直なところ。
でも、ただ単に利便性を追求するのとはワケの違う、普通ではあり得ないような「経験」を体感させてくれる装置があるのも、この家に相応しいんじゃないかな、と思っています。

 Posted by at 6:43 PM

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