5月 172017
 

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【旧東祖谷山村 落合】

奥祖谷二重かずら橋でたっぷりと楽しんだ後、再びエスでR439。
R439のルート中でもっとも高い峠である見ノ越を越えて、まずは一安心、というのが正直な気持ちではあるけれど、先はまだまだ長いのだ。

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谷筋の細い道を徐々に下っていく。
いつまでたってもこんな光景なのだと思っていたが、時折ぱっと視界がひらけて2車線になったり、集落の中の狭路を進んだり、割と忙しい。

途中、落合峠という看板を見つけて、その方面へ少し寄り道をしてみる。
四国特有の景色といえば、急斜面に張り付いた集落だが、この峠の手前にある落合集落も、そのうちのひとつだ。

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峠へと至る途中の道。(寄り道してるので、R439ではない)
R439から更に奥地へと枝分かれして、山の奥へ奥へと進んでいるはずなのに、まだまだ集落が現れる。

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振り返れば、斜面に張り付いた民家と、それらを結ぶつづら折れの道。
少しの平地も無駄にしない様相で、農地が点在している光景。まさにこれこそが、四国の原風景であり、この土地ならではの景観なのだ。

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生活インフラひとつ整備するだけでも大変だろうに。

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ひとしきり落合の集落を散策した後、R439に戻る。
この辺は整備されたトンネルがあったり、ちょっとだけ快走区間が続く。
県道32号の分岐があり、西祖谷とつながっているからかと思われる。

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その分岐を過ぎると、R439はまた「らしさ」を取り戻す。
最初のうちは、それまでの民家集落の中を行く様相を引き摺っていたのだが、徐々にこの道が奥深い山に吸い込まれていくのを身をもって感じることになる。

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道端の樹木や枝にくくりつけてあるピンクの帯。
登山道によくある道標代わりの目印だが、ここは国道である。

ガードレールも路側帯も一応はあるけれど、路面は荒れていく一方。

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と思ってたら、路面が陥没してるじゃないか!
しかも1ヶ所や2ヶ所どころではない。舗装がボロボロに剥げまくって、泥水が溜まっている。そのため、どれだけ深さがあるのか判別ができない。 
こちとら低偏平タイヤを履いたS2000である。ヘタに突っ込んで、ホイールにダメージを受けるなんてことになったらシャレにならない。

できるだけ車輪を落とさないようにラインを選んで走っていたが、遂にはどうやっても避け切れない陥没ポイントが現れる始末。
仕方がないので、超微低速でおそるおそるタイヤを落としながら前に進む。
低床車で走るにはリスキー過ぎる路面状況。

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路面がボッコボコなポイントは限られてはいたが、その後も狭路悪路のオンパレード。もはやガードレールすらもない。

それでも劣悪な路面を蹴散らして登って行けるのは、前走車どころか対向車すら全く現れないからだ。
GW真っ只中。日本一の酷道は、日本一人やクルマの気配を感じない国道でもあった。

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京柱峠

そんな道で黙々とエスを走らせていると、突如として峠に着いてしまった。
何もドラマチックな展開がなく、あっさり着いてしまった感があり、ちょっと拍子抜けしてしまったが、、ここが阿波の国と土佐の国を分け隔てる京柱峠である。

ウワサ通りの素晴らしい展望だ。クルマを降りて、その景色を目に焼き付ける価値は十二分にある。

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県境の峠だけに、双方の国の展望景色が楽しめる。
看板裏は土佐の国、高知県の眺め。

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その反対側には阿波の国、徳島県側の眺めである。違いは特にないけど(笑

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峠には小さな茶屋が建っている。
知る人ぞ知る「京柱茶屋」。クルマの往来が極めて少ない国道峠にて、ひっそりと営業している。
今日もしっかりと「営業中」だ。迷わず店内にGO! 

中には老人が一人、小さなテレビの前に座っていた。その仕草からも、かなりのご高齢と見える。
「うどん?」と聞かれたので、「うどん」と答えた。注文完了。

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店内は旅人の寄せ書きがぎっしり。北海道の観光地みたい。
場所が場所だけに、好き者しか通らないらしく、ほとんどがツーリング連中の寄せ書きだ。
古いものから新しいものまで。食堂としては忙しないけど、こういうのに囲まれるのも、旅情としては悪くはない。

老人店主が音もなく調理するうどんは、思いのほか早く出来上がってきた。
足があまり良くないようなので、配膳は自ら買って出る。 

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しし肉うどん、800円也。西日本独特の、薄い出汁が嬉しい。
しかし何と言っても、特徴はしし肉である。これが絶妙にいい味を出している、ように感じる。

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なかなか800円とはいい値段だが、この場所、この景色で食べられることを考えると、法外な値段ではない。
第一、こんな場所に雨の日も風の日も、一人通って営業していることだけで凄まじいのだから。

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R439の京柱峠は、ずいぶんと前から一度訪れてみたいと思っていた峠だった。
特徴的なネーミングは、弘法大師がその険しさから、京にも上るようと例えたかそうでないかとかで、その名前が記憶に張り付いて離れなかったのだ。

しかし相手は何しろR439。しかもこの「酷道」の代表的峠である。
その峠道を登って越えてとなると、相当の気合が必要な気がしていた。

実際、徳島県側は紹介した通り、路面が荒れまくっており、慎重にクリアしないとクルマを痛めつけてしまいそうなシチュエーションがある。
そしてここから下る高知県側は、路面こそ荒れてはいないが、極狭路が続く。
特に途中で集落を抜ける区間は、民家の軒先をかすめ、塀にボディを擦りそうなくらいに狭い道をいくつも抜けていかなければならない。

高知県側の国道32号から奥祖谷方面には、県道45号&32号で迂回できることから、険しい京柱峠を越える実利的な意味はほとんどない。
越えたいから越える、自らの足跡を残す、という明快な意思がないと通ることすら思い浮かばない道だ。
それなりの忍耐と集中力は必要だが、峠からの景色としし肉うどんを求めて越えるのも、悪くはない選択だと言っておこう。

 Posted by at 1:19 AM

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