4月 052013
 

高知の夜は、京都に行ったら必ず立ち寄る新京極「スタンド」のような大衆酒場で、地方都市独特の空気と素朴な地元飯を楽しんだ。もちろんカツオのタタキも忘れずに。

翌朝、高知市を出発。国道55号を安芸方面に向かって走り出す。

高知市を起点に、室戸岬を経由して徳島市へと至るR55。R32と分かれてもしばらく続く片側2車線のバイパスは流れがいい。 並走する地元車はなぜか軽自動車の方が元気がよく、右に左に車線を変えながら前へ前へと切り込んでいく。

土佐くろしお鉄道と並走する辺りからシーサイドラインに。 シーサイドといってもそれほど海を強く意識する道ではないのだが、室戸に近付くにつれて情緒が出てきて、早くもテンション上がり気味。

このまま進めば、あっという間に室戸岬に着いてしまう。先端に到達するドキドキ感をもう少し味わいたいので、ちょっとばかり寄り道を。 安芸の市街地を抜け、次に現れる安田町の市街地で、県道12号に折れる。 そこは通称「馬路道」。山間に佇む小さな山村、馬路村へと続く道だ。

四国の山間の道となったら、まず高確率でエスで走破することを躊躇うような狭路であることを覚悟しなければならないが、馬路道はそうでもなく、所々にすれ違いに気を使うような区間が残る程度だった。 それどころか、素朴な山村を横目にドライブを楽しめる、趣豊かな道という印象が残った。

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馬路村は、室戸岬のある半島の付け根辺りに存在する、山奥の小さな小さな集落。明るく開けた谷間に、民家が寄り添っている。 ゆずの栽培が盛んで、何より馬路村の名を有名にしているのは、村名を前面に推し出したゆずの加工品をアピールし売り込む村おこし手法だ。

実際に村自体にもそのイメージ戦略が息付いていて、こんな究極に辺鄙な場所にもかかわらず、村全体に活気があるように感じられた。

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村の入口にある「まかいちょって家」(特産品直売所兼観光案内所)でゆず製品を物色。 「ごっくん馬路村」ってなゆずドリンクなんか、結構知ってる人も多いんではなかろうか。この製品が、高知のこんなにも山奥の人口1000人程の村で生産され売られているって、実際来てみたらもっとビックリするだろう。 それだけでも訪れる価値あるスポットではなかろうか。

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その他にも、かつての森林鉄道の名残りをが観光資源としてクローズアップされていた。 産業遺産として、それが活躍した時代、人々の営みに思いを馳せる。

この森林鉄道は、更にずっと山奥の魚梁瀬方面へと続いているようだった。 まかいちょって家で手に入れたパンフレットによると、所々、森林鉄道が走っていた時代の橋梁やトンネルなどの土木遺産が残っているようだ。

ポイントでそれらを鑑賞しつつ、秘境と化していく道を行くことにした。 日本の林業がもっと元気で活気に満ちていた時代の息吹を感じつつ、馬路村を後にする。

県道12号から県道54号にスイッチし、魚梁瀬ダムを望む展望台へ。 石を積み上げた珍しいダムだったが、いまひとつキレイとは言い難いシロモノだった。ここで折り返し。

魚梁瀬への分岐と、二又で国道493号にぶつかる地点までの区間は、それまでと打って変わってスピードの乗る区間。 時々クルマ1台分の幅のトンネルが現れるが、それ以外は気持ち良く飛ばすことのできるハイスピードワインディング。

アクセル操作、ブレーキング、シフトチェンジを織り交ぜ、高めのギヤも使いながら一気に二又まで。

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二又の交差点に架かる、見事なアーチ構造の二股橋。戦時中の建設とかで、鋼材が使えず無筋のコンクリート製らしい。 今この瞬間も、工事のダンプがガンガン通ってるのだが、大丈夫なんだろうか。

この橋も、かつて森林鉄道が通っていた橋との事だった。ここまでの狭いトンネルも、かつては蒸気機関車が材木となる丸太を運んで通っていたに違いない。 今走っているこの山間のワインディングも、大半はかつて線路だったのだろう。

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ここからR493。谷間の狭路は予測に反して見通し良く、ますますハイスピード化。 ここでは運悪く前走車に捕まってしまったが、馬路村を経由した寄り道コースは、ドライビングを楽しみつつ、点在する産業遺産も味わうことができる良道だった。

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