5月 092019
 

平成31年4月27日、30年弱続いた平成の世の、最後の週末。
コックピットに滑り込み、午前3時の時の中を走り出す。

これまで幾度となく繰り返し、いつになっても変わることのない、この瞬間の高揚感。
今日もその昂ぶる気持ちに変わりはない。東京ICから【E1】こと東名高速道路へ。

気の早い同類の車列に交じり、夜の帳を裂くように疾走する。
時折フロントガラスが、雨粒に覆われる。路面は黒く光り、虎視眈々と獲物を狙うかのようだ。
だが愛機は意に介さず、水飛沫を巻き上げながら、矢のように突き進んでいく。

夜が明け、東名同様【E1】の名を与えられた名神高速道路。
交通の脈動は予想通りの滞りを見せ始めたが、大きく想定を狂わすほどではない。
新名神で関西の大都市をパスすれば、そこは快速ワインディングハイウェイ、中国自動車道。

総延長約540km。国内2番目の長さを誇りながらもほぼ全線が山中路で、大都市を通過しないHighwayの異端児【E2A】。
幾多の吸い込まれるようなコーナーの連続をもって、遠い異世界へと誘う。

挑戦的なコーナーを次々とクリアし、いくつもの山を越えていく。
愛機S2000は、直前のメンテナンス効果か、いつになく好調だ。
凝縮されたパワーが湧き上がってくる感触。精緻な機械を操る感覚が研ぎ澄まされ、眠っていた野生が覚醒していく。

愛機に刺激されたドライバーも絶好調。
睡魔や疲労感とは無縁のまま、迫りくるコーナーに立ち向かう。
濃密な対話を繰り返して【E2A】を攻略。するとそこには、異世界の大地への架け橋があった。

 

時間を忘れ、ただひたすら走り続けることこそ、極上の喜び。 

Driver’s High.

かくして旅は、はじまる。

 

2019 05 09 01

 Posted by at 2:28 AM