【隠岐汽船 七類〜西郷】隠岐諸島最大の島、島前へと向かう朝一のフェリーは超満員
翌朝、国道431号で境港方面へ。
空はどんより曇り。2日目にして早くもテンション下がる空模様で、境港に入った頃にはいよいよ雨すら降ってきそうな感じになってきた。
境港から境水道大橋で県境をまたぐ。
以前渡った時は有料だった気がするが、現在は無料。ただ、圧倒的な高所感は健在だった。
補修用の足場が架かるトラスに囲まれて空を駆けるドライブ感は、どこか近未来の工業都市を走るかのよう。
国道485号で七類。ここの港が、隠岐へと向かうメインの玄関口。9時に出港予定の隠岐汽船のカーフェリーに乗船するのだ。
港には大きな駐車場があるが、既にほとんど隙間ないくらいのクルマで埋まっている。GWを利用して島に渡ったり里帰りする人達が乗り捨てていった車両だろう。それにしてもすごい数だった。
それ以上に、フェリーターミナルの長蛇の列に驚いた。まだ出港まで一時間もあるのに、この行列は・・・
車両航送の予約は取ってあったので間違いなく乗れるのだが、問題は乗った後だ。これだけの人を飲み込む客室の余裕があるのかどうか。。
航送手続きを済ませ、いったん港を離れてコンビニへ朝飯を買いに行く。戻ってきて並んだら、ちょうどいいタイミングだったようで、すぐに積み込みが始まった。隠岐汽船「フェリーおき」の後部から、バックで車両甲板に乗り込む。
毎度のことだが、車高の低さから超微低速で誘導され、甲板のほぼ中央部分に収まった。
二等船室に上がってみると予感的中。既に徒歩客で船室は埋まり、2時間半を耐えられるようなスペースはどう考えても確保できそうになかった。
仕方なく売店で一番安い地方新聞を買い、それを右舷デッキで確保できた僅かなスペースに敷いて凌ぐことにした。
海はやや荒れていて、波飛沫がデッキを濡らす。肌を撫でる風も冷たい。
後で知ったが、この波で高速船が欠航になり、そっちに乗るはずだった徒歩客が、同時間帯のこのフェリーに乗船していたようだ。
船室にいられないほどの混雑は初めてだ。
そのうち寒さに耐えかねて、デッキ最後部に別の場所を求めて移動すると、急に天気が好転し出し、甲板に温かい日差しが降り注ぐようになってきた。
こうなると冷たい風にさらされた甲板の環境は、一気に心地よい海上のそれになる。
やがて海原の向こうに島影が見えるようになり、入江と入り込んでいく。隠岐の島には、本土と全く異なる空が広がっていた。
島後、隠岐の島の玄関口、西郷港へ入港。フェリーの腹部から、島の地に上陸する。
離島の旅は、この瞬間がたまらない。異国に足を踏み入れる瞬間のような高揚感が、いつになってもどこに行っても刺激的なのだ。
しかし隠岐は、下りた瞬間、港から出てどこをどう行っていいのかわかりにくかった。
方角と地形の雰囲気を頼りに、適当に走っていると、勘は当たっていた。R485から西郷大橋を渡り、広域農道を空港方面へ。
途中で岬の表示があったので、本能的にノーズを向ける。
公園の中のような狭い道を進むと、胸のすくような景色に遭遇した。
西郷岬
地図には白崎と書いてあったが、現地には西郷岬と表記されていた。
駐車場からさらに奥へと歩いていくと、瀟洒な灯台が、青く輝く海原に向かって佇んでいた。
隠岐諸島には、4つの大きな島があり、本日上陸したのは、島後(どうご)と呼ばれる隠岐諸島の中で最も大きい島(ちなみに残りの3つの島をまとめて島前と呼ぶ)。島の形状はほぼ正円に近い。
いわゆる「隠岐の島」と言ったら、この島がイメージされることが多いかもしれない。
その島前の南東の岬が、この西郷岬。フェリーが入港する西郷港を擁する島最大の町、西郷は、この岬から見下ろす西郷湾の最奥にある。
灯台のある高台から眺めたら、その西郷の港に先程乗ってきたフェリーが停泊しているのが見えた。
テンション下げた本土周辺の今朝の天気とは大違いの、眩しいばかりの陽光。
島の輝く海と緑を前に、これから始まる島前のドライブに、逆にテンションはMAX、胸が高鳴っ放しだ。