8月 272016
 

2016 08 27 15

ルシャ海岸の後にカメラの設定を変更したことで、より現実に近い色合いの写真になっているので、後編として特集します。

またまた奇岩奇景の連続。
非日常の景色とはいえ、ずっとこればっかりだったら飽きもそうだが、これがまた飽きないのである。
何度も来れるわけではない希少性が、そう感じさせるのだろうか。 

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断続的に現れる絶景を堪能し続けて、さすがに感覚がマヒしそうになってきた頃、いよいよクライマックスを迎える。

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知床岬

出向から1時間半。遂に知床半島の突端に到達。初めて目にする知床岬である。

岬はなだらかな丘陵になっていて、先端を見下ろす位置に灯台が立っている。

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灯台は、世界遺産登録時に立て替えられたそうだ。
それまでディーゼル発電だったのが、太陽光発電に切り替えられている。こんなに雲の多そうな場所で、ちゃんと発電できるのだろうか。
光源はLED。灯台も進化しているらしい。

突端に来たものの、周囲の分厚い雲はまったく晴れる素振りも見せず、却って更に濃度を増してきて覆いかぶさってくるかのようだ。
晴れていれば、間近に国後島が見えているはずだが、それも叶わず。残念。

初めての到達で、もっと感動するかなーと思ったら、意外なほど冷静にあっさりと捉えている自分がいた。
やっぱり自分の足で来なきゃなー。足って言っても歩いてというだけではなく、運転して、あるいは船漕いで(笑)来て初めて、爽快な到達感が得られるような気がする。
ま、知床岬には常識的にはこの方法しかないから仕方ないけど。それに、快晴だったらまた違った印象を受けたかもしれない。

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大型船も追いついてきたので、クルーザーは踵を返して、再び波を切り始めた。
帰りは一直線に進むらしく、スピードを上げて沖合を一直線に行く。船体後部の屋外席に巻き込んでくる風が冷たい。

ぼんやり海面を眺めていると、イルカの群れが海面を跳ねていく。
咄嗟にカメラを向けるも間に合わず。再びクルーザーのエンジン音だけが鳴り響く時間が流れていく。 

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ルシャ海岸では再び、クマの姿を探して海岸近くを進む。先ほどの親子グマの姿は、既になかった。
ちなみにこのルシャ海岸が、知床岬クルーズでの一番のヒグマ遭遇ポイントで、この時期はかなりの高確率で見ることができるらしい。
たった1組の親子連れのヒグマだったが、見ることができてよかった。(ドライブ中は絶対に遭いたくないが) 

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ルシャ海岸以外は、とにかく一直線に帰る感じ。往路は断崖の近くに寄りながら、間近に奇景を楽しんだりして時間を忘れることができたが、復路はひたすら長い。
海上の風は冷たく、時折雨粒が落ちてくることもあり、体感上はかなり寒い。乗船時は全員船上に出ていたが、一人、また一人と船内に避難していく。
防寒用に持参した上着と、雨具代わりのアウターを着て臨んだので、ずっと外にいても問題なかったが、夏服のままだと耐えられるものではなかった。

外に出て間近に秘境の空気に触れることに意味はあるにしても、この天気だと少々忍耐が必要かもしれない。
それに、やっぱり晴天の光り輝く岬を見たかった。

・・・・・・・ 

約3時間の航行を終えて、ウトロの港に到着。身体は完全に冷え切っていた。

ウトロの道の駅で支度を整えてから出発。
国道334号を走り出すと、既に本降りになっていることに気が付いた。船上でこの雨に遭わなかっただけでも良かったな。

途中どこにも寄る気がしないまま、斜里方面へ。
斜里の街中にある道の駅に着いた時、どこか身体の調子がおかしいことに気が付く。
長時間冷風に身を晒したからだろうか。実はこの前の週に熱を出していたため、ぶり返したのかと思い焦った。こんなとこで寝込むわけにはいかない。

斜里の街中でドラッグストアを見つけたので、薬とドリンク剤を購入。
以前ならこんなことはなかったのだが、一度体調を崩すとなかなか全快できないのがもどかしい。トシだな。

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斜里から国道244号へスイッチ。
小清水原生花園のパーキングにて、本日初めてツーリングらしい写真を撮る(笑
後ろに点々と見えているのは、放牧されている馬たちだ。

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ふと我が愛馬の脚元に目をやると、これが酷い。まぁ雨天続きだから仕方ないが。。。
それにしても天気である。数日前の道東地方の予報では、昨日から今日にかけてが悪天候のピークだったはずだが、実際には昨晩はさほど降らず。悪天候がずれ込んでいるような感じ。そしてこの先もぱっとしないときている。
この先どうしようか・・・

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そう、この先の行程は全くもってして未定なのである。
とりあえずの目的である知床岬は到達したので、残りの日程はある意味フリー。であれば、できるだけ天気の良さそうな方向に行けばいいのである。
ところが予報がまるでぱっとしない。その通り動いても裏切られる予感がムンムンするほど不安定な、夏の北海道の空なのであった。

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藻琴駅

この辺りのR244は、釧網本線と並行している。
駅にはなぜか観光客が溢れていたが、藻琴駅だけは誰もいなかった。一瞬通り過ぎたが、可愛らしい木造の駅舎が気になって、引き返すことにした。

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人の気配のない待合室。年季の入った羽目板と、図ってかそうでないのか微妙にカラフルなベンチに、何故だかソソられる。

さも当然のように無人駅なわけだが、かつて駅の事務室だったであろう部屋に、喫茶店が入っている。
身体が暖かい飲み物が欲して、客のいない店内へ。

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鉄道グッズに囲まれて、何の変哲もないブレンドコーヒーをいただく。冷えた身体の隅々まで染み渡る。
旅の途中にcoffeeでほっこりする時間というのは、自分にとっては珍しい。いかにもな雰囲気の店ではあったが、少し活力が戻ってきた気がした。

・・・・・・・

R244で網走市街に入り、道の駅で今夜の食材を物色。
そう、体調がイマイチなのに、今晩はキャンプなのである。昨日はウトロで少々高価な宿に泊まってしまった(内容は贅沢とは程遠い宿だったが)ので、今晩は野宿しなければならない。
しなければならないということはないのだが、せっかく久々のキャンプツーリングだ!と息巻いているのに、宿ばっかりじゃあサマにならないし。。

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網走駅前を通過。駅前のビジネスホテルの駐車場に、赤いNSXが停まっているのが目に入った。
駅前通りに並んだホテルに泊まるチャンスもあったが、ここで泊まったらグランドツアラーの名が廃る。(なんじゃそりゃ)

網走周辺にはいくつか利用しやすいキャンプ場がある。
国道39号に入って女満別(現在は大空町)。石北本線女満別駅の真裏にある、女満別湖畔キャンプ場が本日の停泊地だ。

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林間の芝サイトで、湖畔はダート。2輪ツーリストは一様に湖畔に陣取っていたが、景色を楽しもうという発想はこの日はなかったので、駐車場に近い場所に幕営することにした。
一応有料で、駅裏の観光案内所みたいな場所で料金を払ったが格安。しかもゴミも引き取ってきくれるという。なかなか素晴らしいではないか。

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実はここに来るのは初めてではない。キャンプをするのは初めてだが、真冬にここから網走湖でワカサギ釣りをしたことがある。
網走湖なんかでそんなことしたらもう、入れ食いも入れ食い。却ってちっとも面白くなかったのを覚えている。
そんな昔の記憶を蘇らせながら、体調を回復できるよう努めて早めに就寝したのであった。 

 Posted by at 2:56 PM
8月 272016
 

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ウトロで迎えた朝、空は断然曇り。だが、雨が落ちていない。

この日は今回の道東ツーリングで唯一明確な目的地と言っていい、知床岬に向かう予定の日だ。
数日前の釧路でネット予約した観光船の集合場所へと向かう。エスは駐車場にてお休みである。 

ウトロから知床岬に向かう観光船には、大小いくつもの運航会社が存在するが、Webで目についたクルーザー観光船を選択していた。
さすがにハイシーズンということもあり、ほぼ満席。しかも予約順に席を取れるので、直前に予約した自分は、自動的に後方の余った席に。
写真を撮りたいので、雨風が当たらない外部という場所は、特段悪くはなかったが。

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午前10時出航。国道334号知床横断道路の登り口を横目に、クルーザーがスピードを上げていく。
後ろからは同時刻に出向したと思われる大型船がついてきたが、あっという間に引き離してしまった。

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のっけから奇岩奇景のオンパレード。クルーザーはその度に速度を落とし、可能な限り岸まで近づいていく。
とは言え常に動いているし、今にも降り出しそうな暗い空でシャッタースピードが極端に遅いこともあり、画像は流れ気味。

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フレペの滝(乙女の涙)

出航してそれほど時間も経たないうちに、最初の絶景スポットに到着した。
優しく流れ落ちる二筋の滝。よく見ると、岩の割れ目から直接流れ出ているのがわかる。
この滝には川がなく、地中に浸透した雨や雪解け水が、直接流れ出ているという珍しい光景。

ちなみにこの滝には、崖上に展望台があり、遊歩道を歩いて到達することもできる。

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湯の華の滝(男の涙) 

乙女に対して男の涙。
海上からしか見ることができないので、隠れて涙を流すという意味から、この通称があるらしい。

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奇岩にはそれぞれ名前が付いていて、事細かにガイドが説明してくれる。(覚えてないけど(笑)

海上には定置網の位置を示す浮きが並んでおり、クルーザーはその間を縫うように航行する。
ずっと岸辺を走っていてくれると、間近に見る圧倒的迫力の地形を楽しめるのだが、この時期はそうもいかないようだ。

この時期は樺太マス漁の定置網だそうで、例年より早く網が敷かれているそうだ。
昨年は爆弾低気圧で網という網が流されてしまったそうで、今年は漁師の気合いが違うとか。。

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象岩

これだけは覚えていた。見たまんまだし(笑

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野生動物の宝庫でもある知床。断崖には、羽を休める鳥たちも多く見られた。
これはオジロワシ、かなぁ。他の場所ではウミウも。写真は失敗したから載せないけど(汗

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カムイワッカの滝

あの有名な「カムイワッカ湯の滝」ではない。湯の滝が、海に落ちる滝のことだ。

カムイワッカ湯の滝は、札幌在住時に何度か行こうとしたことがあるけれど、結局行かずじまいだった。
有名になって観光客が多くなり、転落や落石の危険性から規制がかかっていると思っていたのだが、普通に自家用車で行けるらしい。(ただし時期によってはシャトルバス以外は規制される)
ただ、ダートを延々走るので、エスでは向かう気がしない。てゆうか温泉に対しては、もはやそこまでの情熱は無いので。。

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ルシャ海岸

このカムイワッカの滝から、断崖は影を潜めて、海岸に平場が続くようになる。
かなり大きな番屋があったりして、珍しく人の気配のするエリアだ。

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番屋には重機やトラックが停まっている。ここまでは林道がつながっているらしい。

知床岬クルーズの過程で唯一と言っていい人の気配が感じられるルシャ海岸で、遂に現れたこの訪問者。

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ヒグマの親子連れである。
大きな石の上をヨタヨタと歩く子グマを、母グマが時折振り返りながら連れ立っている。
至近距離では絶対に遭いたくないが、海上からだと、単なる微笑ましい風景になる。

しかしながら番屋の直ぐ側で、ヒグマが普通に散歩しているのには驚く。
知床は、ヒグマの密集度が世界有数であることが注目されているわけだが、人との共生の姿とその歴史も、注目すべき事実だと思う。
知床の住人たちとヒグマは、お互いに過度に干渉せず適度な距離を保ちながら暮らしてきた。その関係が、ここ知床の奥地では今も続いているのである。

野生動物との共生の、究極の風景と言っていいのではないだろうか。
わかってはいても、目のあたりにすると衝撃的だった。

(後編に続く)

 Posted by at 11:33 AM