1月 092014
 

ぐっと冷え込む霧島高原の朝。早々とテントを撤収した後、農道を使って栗野へと向かう。

栗野で給油後、新たなルートとして更にしつこく農道を選択。「こがねロード」と名付けられた広域農道で、どんどん距離を稼いでいく。

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行き着いた先は、曽木の滝。
持参のツーリングマップルには、「東洋のナイアガラ」と威勢のいいことが書いてあるが。。。

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言い過ぎでしょ(笑

しかし。

川内川の中流の見所はこれだけじゃない。
いや、むしろこっちを見たくて農道をぶっ飛ばしてきたようなもの。
曽木の滝からやや下流。人っ子一人いない大きな駐車場にエスを停め、しばしの散策の後に辿り着いた先に。

それは流れを止めたダム湖のほとりに忽然と現れる。

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曽木発電所遺構

ダム湖に沈む産業遺産。
その実は過去の水力発電所だが、1年のある時期にだけ、ダム湖から顔を出すことで有名なスポットだ。

記述によると渇水期の夏場だけ姿を見ることができるようだったが、10月も下旬に差し掛かったこの日も、余裕で遺構の全体が露出していた。
あまりに水位が低くて情緒も半減で少々肩透かしを食らってしまったが、忽然と現れるレンガ造の建築遺跡をこの目で間近に見ることができたことは幸運、と思っておこう。

明治時代、元々は先に見た曽木の滝で発電を行っていたが、明治後期にこの遺構にあたる第二発電所が稼働して、最初の発電力量の約8倍にもあたる電力を、最下流の水俣市のカーバイト工場にも供給していたとのこと。
以後60年近く現役で発電した後、ダム建設で湖底に沈むことになったそうな。

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その建物のレンガ造の外壁が、ほぼ原型を保ったまま湖底に沈んでいて、渇水期にのみ姿を現すということに壮大なロマンを感じるのは僕だけではないはずだ。

かつて日本の近代化を支えつつも、その役割を終えてひっそりと表皮のみを記憶として残しているという儚さにグッとくる。
こういう廃墟でありながら背後のストーリーに見せられるような建物や構築物に、特に最近、大きな魅力を感じるようになってきた。
そんな時に、この曽木発電所、間近でその姿を拝めたことに満足感もひとしおだった。

 Posted by at 1:13 AM