身動きの取れないシルバーウィークの呼子。
一考を案じて、唐津焼探訪に赴くことにした。
前回ツーリングでも唐津焼の窯元に訪れていて、今回もここに再訪できればいいなと思っていたのだ。
呼子で時間が余ってしまったので、その前に別の窯元にも行ってみようとiPhoneで即席検索。ごく近くで良さ気な所がヒット。急遽そちらにおじゃますることとする。
県道23号を少し走って、あとはiPhoneのGoogle Map頼り。
御存知の通り、エスにはナビなどというものは着いていない。紙の地図さえあれば大抵の場所には行ける自信はあるのだが、ほとんど個人宅で、しかも目印のない山奥にあるとなると、さすがに情報が足りない。こういう時に、拡大図が確認できるiPhoneは便利だ。
本当にこんな道入っていいのか!?みたいな道を恐る恐る進みながら辿り着いたのがこちら。
急勾配のアプローチを、下廻りをまた打ち付けたりしないかとヒヤヒヤしながらバックギヤに入れて後ろ向きに登っていくと、上の写真の表札が迎えてくれた。
ほぼ何の情報もなく、ただ近かったからというだけの理由で来てしまった。当然アポイントもない。それでも出迎えを受けて、工房に案内される。
素朴な作業場の一角に、静かに並ぶ作品たち。もう一目見ただけで確信。これは大当たりかも。
案内してくれた女性の方によると、親子2代で創作活動されているそうな。
それぞれに展示室が分かれている。息子さんの方の作品のうちから、気に入った小鉢を2つ買い求めると、お茶を飲んでいかないかと誘われ、連れていかれたのは何と茶室。
茶室としては大振りだけれど、造りはかなりの本気モード。
茶道の心得皆無ながら、建築にはほどほど興味があり、茶室の構成についても全く知らないわけではない。
天壁に嵌め込まれたステンドグラスが目を引く。訊けばラリックとか。
そんな遊び心に、この窯のセンスを感じる。
振る舞っていただいたのは、たった今買った器の作者である息子さんご本人。(半身だけ写ってるのが当人)
かなりお若いけれど、物腰が落ち着いた方で、茶を点てながら器に関する様々な話をしてくださった。
すっかり落ち着いてしまったところに、飯も食っていかないかと誘われ、今度は母屋に移動(笑
昼間に誰かの快気祝いがあったらしく、その残り物だけどーと言われながら、お母様が次々持ってくる料理は超本格的。当然ながら、盛られる器がめちゃくちゃカッコイイ。
先客の方と息子さんと一緒に、遅い昼食会。なんなんだこの展開(笑笑
ちょうどこの日は何も食べていなかった(爆)ので有り難かったが、初訪問の個人宅で、ここまでもてなされていいんだろうか?
まぁ皆さん当然のことのようにされていたので、普段からこういう感じなのかもしれない。
すっかり長居してしまい、帰る頃には陽も傾き始め。
まだご主人の作品をじっくり観ていなかったので、工房の一角で最後の品定め。
まるで土の中からそのまま生まれてきたかのような、手捻りのカップ&ソーサーにすっかり心を奪われ、買い求めることに。
工房で器の制作をしていた寡黙なご主人。
待っている間にぐい呑みをひとつひとつ鑑賞していたら、「ご興味がお有りか」と、徐ろにそのうちのひとつを選んで包み出す。
なんと、いただいてしまいました(滝汗
カップ&ソーサーも結構なお値段だったが、ぐい呑みはその倍(下世話なハナシですが)・・・・散々もてなされて、更にはこんなオマケ、本当にいいんだろうか。。。
土平窯で過ごした時間は、この旅で一番印象に残った出来事かもしれない。
ワンコもハイテンションで大歓迎。ちなみに彼の水飲み器は、土平窯の茶器・・・贅沢な犬だ(笑
ご主人と息子さんに、深くお礼して出発。
この後に前回訪れたここに行こうと思っていたけれど、もうお腹いっぱい。今回はもうこれで十分だ。
この旅最後の停泊地に向かうべく、エスを走らせる。気持ちもお腹もすっかり満たされて、この上なく気持ちの良いオープンドライブになりそうだった。