1月 122012
 

R style Houseの建設現場が、年をまたいでようやく再開。
昨年末までで基礎が完成していたので、再開直後にいきなり建て方の工事から始まります。

建て方とは、柱を立て、梁を掛け、棟木を上げる工事。つまり、家の骨組みを組み立てる工事です。
建て方は通常1日か2日かけて一気に行うので、住宅の建築過程ではおそらく、もっともドラマチックな瞬間になります。
だって何もない基礎の上に、一夜城の如くいきなり家の形が出現するのだから。

そういう瞬間なので、家の建築では古くからこの建て方の完了は特別な意味を持っていて、その瞬間を差す言葉が存在します。「棟上げ」とか「建前」という言葉ですが、現代では「上棟」と呼ぶのが一般的でしょうか。

そんな感動的(になると思われる)瞬間なので、建て方が始まる明日から現場に張り付く予定。
予定では、土台から棟上げ、屋根の下地までを、丸2日間かけて一気に施工することになっています。
それだけにいつもは数人しかいない現場も、この2日間だけは10人程度の職人さんたちが大集結。大きな重機も稼働して、施工期間中もっとも活気のある劇的な時間になる予定です。

一生に一度しかないと思われるこの瞬間。ぜひとも楽しみたいと思います。

 Posted by at 9:54 PM
1月 112012
 

年末に届いていた不動産取得税の減額申告書を、先週末書いて提出しました。

土地を購入したら当然取得税がかかるわけですが、さすが東京23区、周囲は田舎の様相でも評価額の立派なこと。。目の飛び出るような税金額が記載されています(汗
一瞬(相当)焦りましたが、、住宅を建てるために購入した場合、その金額をいきなり納めるのではなく、申告をすることで減免措置が受けられるとのこと。
早速、記載の計算式(これがまたややこしい)に沿って弾いてみると、どうも全額免除っぽい。解釈が間違ってなければですが(^ ^;

確定申告と違って申告書自体はとても簡単で、土地の契約書など必要添付書類を付けて都税事務所に送付しました。

不動産を持つと取得税に限らず、固定資産税、都市計画税といった税金がかかってきます。
税金の他にも、土地や家を買うためにローンを組むと、どんなに想定していても、いろんなおカネがかかって、その都度ビビってます(笑
特に腑に落ちないのは、ローンや登記に関わる諸費用。とにかく、手数料的なものにいちいちお金を払わされます。それだけ動いてくれる人がいるんだったらまだわかりますが・・・
それに比べたら建設費用は、まだ明瞭な気がしますね。。

 Posted by at 3:37 AM
1月 082012
 

2階が山小屋のロビー、あるいは大食堂みたいな位置付けだとすれば、ロフトは屋根裏の寝室みたいなイメージです。
皆が共に時間を過ごす大部屋に対して、完全プライベートな秘密の空間のような・・(実際は山小屋は基本的に雑魚寝ですが^ ^;

そういったイメージで設定したロフト空間なので、リビングの吹き抜けに付随するような、いわゆる「ロフト」とは少し趣を異にしています。ロフトというより屋根裏部屋って感じ?その他の生活スペースからは隔絶され、言われなければこの空間があることすらわからないような、文字通り秘密の部屋を設けています。

屋根裏とか秘密の部屋、って響きにドキドキした経験はないですか?
子供の頃、秘密基地と称して遊んだ記憶。それはまさにR style Houseのイメージ、「基地」「山小屋」から連想するイメージそのもの。
そんな空間を、この家の最上部にこっそり組み込んでいます。

・・・と、いかにもコンセプトからすんなりと設定されたかのようなこの秘密の部屋ですが、実際は計画する上でかなり紆余曲折あった空間でもありました。

そもそもロフトではなく3階にしてしまった方が汎用性が上がりましたが、3階建にすると条例で近隣説明の義務が発生して面倒だし、街並みや外観的にもバランスが取れない(周辺一帯の家はほぼ2階建)。
秘密部屋を納戸として使用する前提から、1階と2階の間に設ける(この場合「ロフト」と呼ぶより、ミサワホームの商品から「蔵」と呼ぶのが一般的、かも)というプランも相当検討しましたが、結果的には屋根裏部屋的な空間にすることに落ち着いています。

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【ちょっと豆知識】
ロフトを2階の上に設けるのと、3階建にすることの違いは何か。
一般的にロフトとは、法的に階に算定されない床を言います。階に算定されないためには、平均天井高を1.4m以下にすることが条件になります。つまりロフトとは、 立って歩くようなことが難しい空間を言うわけですね。

階に算定しない、ということがどれだけ意味を持つのか。法的に木造2階建と3階建では、かなりの違いが生まれます。
代表的なところでは、3階建は構造計算が必要になります。逆に言えば2階建は必要無く、設計者の責任という名目のもと、法的な確認は免除されます(それはそれで問題がないわけではないですが)。それだけ木造3階建は特殊で、コストも労力もかかる形式なんです。だから、2階か3階かというのは、土地の形状、属性とコストバランスを十分考慮して定める必要があります。
ちなみにR style Houseは法的には2階建ですけど、構造計算を行って、それに基づいて構造計画しています。

その他にも、都市部に見られる準防火地域(R style Houseの敷地も該当)では、木造3階建はワンランク上の準耐火建築物という規定に則った仕様にしなければならないなど、いろいろ足かせ(コスト的な面も含めて)が発生してきます。

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1階がcar pitのため許容床面積に余裕がある(「駐車場」はある一定の割合まで容積率対象の床面積に算定されない)ので、面積的には3階建にすることは可能。準耐火建築物にして近隣説明をしてしまえば3階建も無理ではありませんでしたが、最終的には高さ制限との兼ね合い(外観的に奇形になってしまう)とコスト面の理由でヤメておきました。

というふうに実際にはロフト空間は、コンセプトからくるイメージとは別次元で、かなり法的な背景から導き出されています。
実際の用途は、寝室と納戸を予定しています(予定してるだけ。生活スペース同様、いろんな状況に対応できる空間であることが前提だから)が、なんせ天井高が1.4mしかないわけで、空間の雰囲気が想像つかないのが正直なところ。
でも、ただ単に利便性を追求するのとはワケの違う、普通ではあり得ないような「経験」を体感させてくれる装置があるのも、この家に相応しいんじゃないかな、と思っています。

 Posted by at 6:43 PM
1月 072012
 

年が明けて、初めて新築現場に足を運びました。
工事は来週からなので、現場は年末の状態のまま。最後に見に行った後の年末工事で、以前紹介した基礎に埋め込んだアンカーボルトに、柱の取付け金物(写真の黒い物体)が据えられています。

今後の工事で、この黒い柱脚金物に直接柱を立て込んでいきます。
この金具が、構造計画上のポイントになる部分。

普通の木造住宅では、このような金物は使わず、基礎上に敷き込んだ土台上に直接柱を立てていくのが一般的かと思います。
それに対して今回の計画では、柱は土台から独立させ、基礎から直接立ち上がる特殊な工法を採用しています。
こうすることで、柱に対する引き抜き耐力(接合強度)を、従来の工法よりはるかに高く確保することができるからです。

建物(木造住宅)には地震時に、基礎上部の上物が揺すられることで、柱の根元に引き抜きの力が加わります。ここが破断する(柱と土台が離脱する)と建物は更に傾いて揺れの力が加速してしまい、最悪の場合倒壊してしまう恐れがあります。
なので、この柱脚部分の耐力確保は非常に重要。通常はホールダウン金物で引き抜き耐力を確保しますが、柱脚金物は更に大きな耐力を確保できます。

その分コストもかかるし、基礎から直接柱を立てるので、アンカーボルトの精度、更には基礎の精度が必要で、施工にも監理でも気を使うけれど、建築にとって生命を守る構造性能は最も重視すべき部分のひとつですからね。
金具自体の強度も必要で、当然経年による問題は懸念されますが、塗装は自動車と同じような電着塗装が施されていて、いかにも堅牢な感じです。

もちろん構造計画のポイントはこれだけではないですが、まずは足元からっていうことで。

 Posted by at 11:24 PM
1月 062012
 

2階はいわゆるリビング的な空間で、対外的には一応「居間」としていますが、自分の中では単純に「生活スペース」として捉えています。
ここにテレビ、ここにソファみたいな、そういった使い方を敢えて限定しない空間というのが、ここでいう「生活スペース」です。

機能的な空間ならまだしも、そうでない様々なアクティビティが想定される空間には、あまり制約を設けたくありませんでした。
生活スペースは、様々なアクティビティを許容し、いろいろな使い方が可能な空間さえあればいい、そういう発想です。感覚的に気持ちのいい空間ボリュームを用意しておき、使い方によってその都度、様々に形を変えていくのが理想。

襖で仕切ったり開けたりすることで、様々な状況に柔軟に対応できたかつての日本家屋は、まさにそういった空間の集合体でした。
このような空間の可変性が生活スペースには相応しいと考え、できるだけ用途は規定せずに、プレーンな空間を用意することを念頭に置いています。

ただし、その場合でも、あくまでそこにいて気持ちのいい空間であることが条件です。
面積や高さに制限がある中で、できるだけのびのびとしたボリュームを確保して、狭さをできるだけ感じないような広がり感を重視しています。
それも単に大きな空間というわけではなく、奥行きの深さや窓の位置、動線上のシークエンスを考えることで味付けを忘れないように。
この辺りのシュミレーションは、脳内での空間展開と共に、スケッチや模型で検証していきました。

そしてもうひとつ、生活の舞台となるこの大きな空間には、いくつもの「領域」を潜ませておくことを心掛けています。

「領域」とは、「居場所」というニュアンスに近いかもしれません。
人は誰でも落ち着く場所、空間というものがあると思います。家の中でも然り。いろんな生活パターンを想像して、その時々でまるで巣籠もりするかのように留まる部分を想定して、そのうちのいくつかの領域には、体感的に居心地良く感じる仕掛けを施すようにしました。
それは大きな空間とは性質の異なる付属空間であったり、隅っこに設けられたアルコーブ的な空間であったり。
生活の中でいろいろな居場所を設けておくのは、その家で生き生きと活動していくための重要な要素になるのではないかと考えてのことです。

これとは逆に、ある行為にしか使えない空間(トイレとか風呂とか、ごく機能的な空間は別)の集合体では、却って使い難いと思います。やたら個室の数だけ多い家は、それだけ家族の人数がいたとしても、生き生きとした日常になるかは疑問に感じます。
柔軟に可変する空間に様々な居心地のいい「領域」を仕掛けておくという方法は、決して広くはない、世間一般では狭小住宅の部類に入る家をいかに効率良く計画するか、というところから出てきている発想ですが、一方で、nLDKに固執する現代の一般的な家の構成に対するアンチテーゼであると言えるかもしれません。

 

その生活スペースに付随して、機能が限定されるキッチン空間を配置しています。

昨今のキッチンは対面タイプが主流ですが、R style Houseのキッチンは、生活スペースと敢えて分け、ほぼ別空間として計画しています。キッチンをリビングの一部にするのではなく、厨房のように空間的に分けるスタイルです。

この辺は生活者の趣向や家族構成によってスタイルが異なってくる部分。これが絶対良いという性質のものではありません。
ただひとつ言えるのは、キッチンにしたって開放的で家族と一緒がいいのか、閉鎖的で集中できる方がいいのかは、居住者の生活スタイル次第ということ。盲目的にイメージと流行だけで決めては勿体無いと思います。

(紆余曲折のロフト空間へ・・・)

 Posted by at 2:34 AM