「にし」と「ひがし」の茶屋街の街並みは、ある意味金沢観光の王道とも言え、ヨソイキな側面は否めません。
街並みを散策していて本当に興味深いと思えるのは、飾り気のない普段着の風景にあることが実は多い。
今でもそこには生活があり、それが世代を超えて継続している場所にこそ、その土地独特の風情が生まれる。
短時間では到底成り得ない深みは、何物にも代え難く、それがかけがえのない歴史文化へと昇華していく。そこに都市空間としての本当の価値があるのではないかと思ってます。
観光地から一歩離れて、普段着の街角風景を求めて金沢を歩いてみると、そんな表情に出会うことができます。
東山(卯辰山山麓)
東山とは、ひがし茶屋街のある町名。ですが、ここで挙げる内容は、茶屋街以外の「東山」の光景です。
金沢市街の東部に位置する卯辰山の山麓辺りが、ここで紹介する東山/卯辰山山麓エリア。(国道359号と浅野川と卯辰山に囲まれた辺り)
京都にも同様に東山がありますが、位置付け、感覚的に、京都とそっくりかもしれません。
その金沢の東山には、お寺がもの凄く密集してます。その数、おおよそ50(!)にも上るとか。
金沢、つまり加賀の国は、一向一揆の国であり、その対策(城下の防御)として江戸時代に、この地に寺院が集められたと聞きます。
飛び抜けて有名なお寺はないですが、それらが密集することによって、古都らしい迷宮的な街並み空間が、入り込む者を楽しませてくれます。
ほんの一部に過ぎませんが、その雰囲気を感じ取れる写真を垂れ流し的に貼ってみます。
寺院と町家が混在する街並み。
最初は意図的に集められた寺院群ですが、歴史の流れの中で街と同化し、独特の魅力を持つ都市空間を形成しています。
そこには過剰な飾り付けも商売の匂いもなく、ただそこに存在することで形成された空間があるだけ。
でもそれこそが、かけがえのない価値なのでは。
こういった普段着の金沢が、金沢で一番魅力ある風景だと思っています。