10月 192015
 

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前夜のダメージは軽くはなく、マフラーのタイコは両方共ベッコリ、リアバンパーのステーも折れ曲がってしまった(写真撮る気にもならなかったので、各自想像してください・・・)が、不幸中の幸いで、ぱっと見ただけでは損傷していることはわからない。
鶴御崎のミステリーの時のように、旅の続行を諦めなければならないほどのダメージではなく、このまま旅は続けられそうだ。

ただ、気分はどんより曇り空。 
それを察したかのように、3日目の熊本の空も一面の雲天だ。

昨日、予定では天草から早めに熊本に戻り、市街地観光でもしよっかなと思っていたのだが、想定外の渋滞で、まったくそんな時間は取れなかった。
今日は阿蘇の方に向かおうかと思っていたが、熊本市街を宿泊だけで素通りも勿体無い。
どうせ天気はイマイチだし、午前の時間を観光に費やすのも悪くない。

訪れたのは熊本城。加藤清正の城。
城マニアではないのだが、武者返しの石垣や、復元された本丸御殿には、ちょっと興味をそそられる。

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朝イチで訪れるも、駐車場には既にかなりのクルマの数。
西大手櫓門を通って本丸に続くゲートに向かうと、開門を待つ人の列が。。
開門までしばらく周辺を散策。

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入場券買って中に入るまで、この櫓(宇土櫓)が天守閣だと思ってたのは内緒だ(笑

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こちらが本物の天守閣。
大天守閣の高さ約30m。威風堂々。これは迫力がある。
建物には年季が入っているように見えるけれど、これは再建。清正公のオリジナル天守閣は、西南戦争の際に焼失している。

しかし、城っていう建築は不思議だ。
建築文化の歴史上、何の脈略もなく突然現れる圧倒的構造物。
城塞という機能性と、権力による威厳の象徴。
それを中心として築かれた都市が、現代でもその骨格を保っているのである。

城には建築的な見どころは、それほど存在しないと思う。
その存在自体が、考えれば考えるほどミステリアスで、歴史上重要な発明であることに気付くのだ。 

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内部は熊本城の成り立ちと歴史を紹介する博物館。
じっくり見ていくと、熊本城がいかに大規模な要塞だったかを知ることができる。
今でもかなりの石垣は残っているが、それとて一部に過ぎない。

難攻不落の名城は、西郷隆盛率いる士族の反乱軍が政府に反旗を翻した西南戦争の際、政府の征討軍の根城となった。
てっきり西郷軍の攻撃で焼け落ちたのかと思っていたら、開戦3日前に原因不明の火災で焼失したそうだ。
それでも政府軍の籠城作戦が勝り、西郷陣営は追い詰められる。そんな日本最後の内戦の主要な舞台のひとつが、ここ熊本城なのだ。

てなことを熱心に学びながら進んでいくと、いつの間にか天守閣の最上部に辿り着いてしまう。
昭和の再建であるお城は、立派な鉄筋コンクリート造。ガッシリとしたコンクリート製の柱と上りやすい階段は、城の中にいることを忘れさせるに十分である。

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天守閣からの熊本市街の眺めは素晴らしい。
城は再建でも、しっかりと街の位置的精神的中心となっているのがよくわかる。

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巨大なくまモンに見つめ返されたりして。

熊本城内だけでも見所はいろいろあって、興味が尽きない。
ここだけで半日以上かかりそうだが、そんなに時間は割けない。
それでもあと1ヶ所、復元された本丸御殿は見ておきたかった。

天守閣に隣接する本丸御殿は、清正公により建立された城の一部。行政や生活の場として利用された、いわば殿様のお屋敷である。
この建物もまた、西南戦争(の3日前)に焼失したのだが、つい最近、当時の建築そのままに再建されたことを知っていたので、見ておきたいと思っていたのだ。

全部が全部、再建というわけではないが、当時の建築技術を活用して復元されている。
新築ゆえ、古さが醸し出す味わいというのは一切ないが、それはこれから年月が経ていくことで自然と得られていくもの。

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まるで機能的でない大広間。なんでこんな空間が必要かというと、その奥に最も格式の高い藩主との会見の間があるから。
復元でなければ、まず実現することのない空間が、新築で体感できるという贅沢。

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その最も格式が高い間が、この「昭君之間」。
安土桃山文化そのまんまの絢爛さ。ただしオリジナルの建立時は、既に徳川の世になっていたはず。
初代藩主の清正公が、元は豊臣家臣だった名残りだろうか。

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確かに派手派手しいが、色彩のバランスが良いのだろうか、不思議と見ていて惚れ惚れする。
実用性とは全くかけ離れているが、芸術として見れば、復元とはいえ素晴らしい。 

表面的には好みの分かれるところだが、本丸御殿は建築技術の伝承という意味で、価値ある再建だと思う。

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武者返しの石垣を鑑賞しながら、駐車場へと戻る。
熊本城周辺には、他にも見所はたくさんあったが、今回のところはここまで。残りは、また訪れた時のためにとっておこう。

エスのルーフを開け放ち、熊本の街中へと滑り出す。
国道3号を北上し、国道387号を菊池方面へと向かうことにした。 

 Posted by at 12:03 AM