6月 212016
 

2016 06 21 01

県道を走った先には、小さな温泉街がある。

「有福温泉」

山陰には知る人ぞ知る秘湯だけでなく、歴史ある温泉街が所々にあるが、ここもそのひとつ。
かつては賑わったであろう形跡を残す、小さな小さな温泉街だ。

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飾り気のない鉄筋コンクリートの建物が本日の宿「小川屋旅館」。
温泉街の旅館なのに、内湯がない。風呂に入るなら歴史ある外湯(共同湯)でどうぞ、というスタイルなのだ。

実はこれ、変わったことではなく、有福温泉の近くにある温泉街、温泉津温泉の古い旅館にもこの形式が多いと聞く。
歴史を遡れば、全国どこの温泉街でも、風呂は外湯でというのがごく一般的だった。それが各宿で内湯を持つようになったのはごく最近のことであり、決して珍しいことではないのだ。

旅館の部屋(和室♪)に荷物を置いたら、早速外湯へ。
・・・というつもりだったが、昼飯も食べずに走り回った後だったので、急激に空腹を覚える。

温泉街と言っても非常に狭く、飲み食いできる店はほとんどない。
唯一目立って目に入ったのがここ。 

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有福Cafe

有福温泉で唯一と言っていいであろう食事処は、都会のゆるゆる系カフェのそれで、なかなか落ち着ける。
生ビールで乾杯した後、運ばれてきたのはこの逸品。

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「炎のおろち丼」なる謎の料理。
写真がヘタクソでイマイチに見えるけれど、スプーンでホロホロと崩せる肉塊は、見た目以上にさっぱりしていて美味しい。
地元島根の窯元による器のセレクトも素晴らしい。

こちらのカフェ、雰囲気もよくゆったりとした時間が過ごせる。開放的な設えによって、温泉街の独特の雰囲気を取り入れることになっているのも要因だ。
これなら旅館でわざわざ夕食を食べなくても満足できる。 

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そして本題の風呂。
有福Cafeより歩いてすぐ。温泉街の高台に位置するこの共同湯の存在感は圧巻。

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御前湯

真正面から撮りづらかったので。。。
歴史ある外観は、大正レトロな雰囲気に溢れている。

浴室はシンプルで、中央に浴槽がででんと置かれるタイプ。
注がれる温泉は無色透明だが、その透き通り方がハンパない。当然の源泉掛け流しゆえ、温泉の新鮮度は抜群に素晴らしいのだ。

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やっぱり共同湯の情緒はいい。
有福温泉の御前湯で澄んだ湯に浸かりながら、東北の共同湯を思い出した。
遠く離れた地のそれぞれの温泉文化だが、とても似ていると思ったからだ。 

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風呂から上がると、辺りは薄暗くなりつつあった。

ここからが、有福温泉街のハイライト。
急激に光を失いつつある温泉街の風情は、それまでとはまったく異なり、儚げな表情を色濃くしていく。

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狭い温泉街を、湯冷めするくらい行ったり来たり。
石見銀山との関係性から世界遺産の一部となってしまった温泉津温泉と比べて地味ーーな有福温泉だが、鄙びまくったこの空気感がたまらない。

思いのほか記憶に残る、いい温泉街だった。

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宿の部屋に戻り、夜更かしした後に、いつの間にか眠りに落ちる。
次の日は荒天が予想されていた。

 Posted by at 1:42 AM
6月 172016
 

たたらの里ではすっかり長居をしてしまった。
県道38号から国道54号に出た頃にはすっかり昼時。県道39号から今度は、名もない農道のような道を山中に向かう。

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駐車場にエスを停め、こんな道を歩いていく。

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清々しい渓流沿いの森林浴。
その先にあるのは・・・ 

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龍頭が滝

なかなかの迫力。変わっているのは、どこまでも近付けて、滝の裏側にまで回れるっていうところ。
で、回ってみたのだが、これがどうして、結構コワいのだ。
水量が怖いのではなく、上部に迫り来るような岩盤の圧迫感による恐怖というか。

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脳内の空間センサーが警報を発して、身体を強張らせる。侵入できたのはここまで。

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滝はもちろん見応えがあったけれど、豊富な水分が生命を育むからだろうか、周囲の緑も鮮やかで、とても綺麗だった。
樹木がコケに覆われた光景は、かつて屋久島ツーリング&トレッキングで出会った風景を思い出させる。

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あの時の何十分の一、いや何百分の一の時間でしかなかったが、龍頭が滝への散策は、思った以上にトレッキング気分を味わえた。

そんなこんなをしてるもんだから、どんどん時間は過ぎていく。
地図を見れば、龍頭が滝の直上には広域農道が通っている。これに直接出るべく、来た道をどんどんと進んでいったのだが、これは失敗だった。
このツーリング中、もっとも荒れた山道。落ち葉が堆積した路面は、次第に水浸しになる。道は極端に狭くなり、勾配は更にキツくなってくる。

戻ろうにも展開できるようなスペースすらない状況なので、何とか間違いなく広域農道に出てほしいと祈っていたら、ズバリ出ることができて一安心。

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そこまでのフラストレーションを吹っ飛ばすかのように、飯石ふれあい農道なる広域農道を突っ走る。
県道40号に突き当たったら左折して、R54に復帰。飯南町赤来まで南下して、県道55号にスイッチした。

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国道375号に出たら、江の川沿いの道を再び南下。
途中、長大なトンネルバイパスを経て、今度は県道7号。途中、邑南広域農道を経て、邑南町瑞穂で国道261号。
瑞穂の道の駅にて次なるルートを練り、再び邑南広域農道と県道7号で浜田市旭へ。
旭から県道5号。いくらかも走らないうちに、再び広域農道に入る。

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中国地方の広域農道は、もれなく美味しいワインディングとなって、ドライビングを楽しませてくれるのだ。
中でもこの那賀東部広域農道は、特に素晴らしいワインディングだった。まるでサーキットのようなコーナーレイアウトに、右足にも思わず力が入る。

時刻はすっかり夕方。
県道50号に交わる交差点を右折し、本日の宿へと向かったのだった。

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 Posted by at 11:25 PM
6月 132016
 

2016 06 13 01

島根ツーリング4日目。
松江の街を出発し、国道432号で郊外へ。程なくして長閑な山中の道になり、狭い区間もこなしつつ広瀬に出る。
広瀬からは2車線の快走路。天気も良いせいか爽快なドライブが続く。
これといったイベントは何もないのだが、この素朴さが中国山地のいいところ。

途中で道の駅「酒造奥出雲交流館」 にて休憩。昨日、地酒を2本も調達しておきながら、思わずどぶろくに手を出してしまう。
さらに西へと走って三成、湯村。ここから農道経由で県道272号に入っていく。
ワインディングでも何でもない山中の道に入るのは、この先にどうしても行ってみたかったスポットがあるからだ。

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菅谷たたら山内

奥出雲は和鉄の産地である。産地だった、という方が正しいかもしれない。
今はもう生産していないが、かつての生産現場「菅谷高殿」と、たたら製鉄の技術者が住んだ集落「山内」は、かつて栄えた名残りを現代に伝えている。
これも一種の産業遺産。全国に名を馳せた奥出雲の和鉄生産現場の息吹を感じてみたい。

集落に近づくと、いきなり目に飛び込んでくる、平たい大きな建物と1本の大木。
導かれるようにその下にエスを停車すると、まるでタイムスリップしてきたかのような感覚に陥る。

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建物はこれだけでなく、周囲に蔵や長屋のような建物も点在していた。
そのうち、長屋に受付らしき場所があったので覗いてみると、案内人のおじさんが裏から出てきて、ガイドを始めた。

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早速、菅谷たたらの中心施設、高殿へご案内。
他に客はいないのだが、丁寧に付き添って説明をしてくれる。

内部に入ると、歴史はあるが保存状態良好な木組みが露わになった大空間。
たたら、つまり和鉄生産の中心施設であり、その生業が想像できる空間だ。

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砂鉄を溶かして固めることで作られる和鉄。千度以上の超高温を得るため、随所に工夫がなされている。
その工夫ひとつひとつを、生産過程に沿って説明していただける。時には手作りのイラストまで出てきて、非常にわかりやすく勉強になる。

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生産過程は説明し出すと長いので、ここでは省略するとして(興味ある方は、現地で是非)、建物そのものも見応えがある。
なんだかシャキッとしてるなぁと思ってたら、案の定、解体修理が済んだ直後だそうだ。
国の重要文化財である建物の修理は、基本的に元の材料をそのまま使わなければならない。
補強や耐震化はそれとなく自然な感じで潜ませて行わなければならず、その苦労が随所に見られる。

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痩せた柱を継いで、建物の歪みを矯正する。解体修理が行われる前までは、どれだけ歪んでいたのかがよくわかるというもの。

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江戸時代から続く内部空間には、実は補強の架構が付け加えられている。
このさり気なさが、文化を継承する技術というもの。実に素晴らしい。

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白熱のガイドは、外にも及ぶ。
たたら製鉄を取り仕切る技師長である「村下(むらげ)」は、その日の製鉄の前にこの川で身を清め、村下しか通ることが許されない村下坂を上って、高殿に入ったという。
村下は世襲制で、一子相伝の技術でたたら製鉄の文化を守り続けたそうだ。 
観念的なしきたりと製鉄技術が混在しているところに、鉄を作るという神秘性を感じずにはいられない。

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ちなみに和鉄は、日本刀の素材である。
今は奥出雲で一軒だけ生産している工場があるという。それも刀という文化を絶やさないために、わざわざ作り続けているのだそうだ。

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滑舌良くガイドを続けるおじさん、タダものでない感じが漂っていたが、この山内に生まれ育った地元民だそうだ。
それにしては説明の抑揚がプロ並み。元は先生か公務員で、務め上げた後に生まれ故郷に帰って、地元ガイドに手を挙げたのではと勝手に想像してみる。

何にせよこの熱意は、地元愛が為せる技だ。
この場所が好きで好きでたまらない、訪れる人にこの素晴らしさを知ってほしいという熱意に満ち溢れている。それがこの素晴らしいガイドに繋がっているのだ。

ガイド終盤に知ったのだが、実はこの日は見学を受け付けない定休日だったそうで、たまたまやることがなかった(つまりヒマだった(笑)ので、案内所にいたところに、訪問客(自分)が現れたそうだ。
まったく知らずに訪れてしまったが、極めてラッキーだったのだ。前日は大勢の観光客が訪れていたという。
こんな山中の地味なスポットに大勢の観光客?と思ったが、最近文化庁による日本遺産なるものに指定され、更にEXILEが主演する「たたら侍」なる映画が制作されていることから、にわかに注目を集めているそうな。

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それらを実に嬉しそうに話すオジサンの喋り口調と表情が、菅谷たたら山内で一番印象的だった。
自分にも故郷があるが、こんな熱意で語り伝えることができたら幸せだろうなと、奥出雲の歴史ある小さな集落でしみじみと思うのだった。

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 Posted by at 2:40 AM
6月 112016
 

2016 06 11 02

前々夜の予告通り、走ってきましたビーナスライン。
2週連続寝坊するわけにはいかないと気合いを入れたら、却って寝られず(笑
予定より1時間も早起きしてしまいました。

6時台にはビーナスラインに入線。垂れ込める霧。
ビーナスラインでは珍しくないので、気にせず走っていくと、やがて視界は開けてきました。

逆にいつもと違ったのは、梅雨入り後だからか、クルマもバイクも少ないこと。
それはそれで走りやすいのでいいわけですが、ちょっと気分上がらないなぁ。

いつもの練習区間は、一部工事による片側通行規制はあったものの、概ねクリアラップ。
年々舗装は傷んできているような気はしますが、それでもこのコースはやっぱり最高です。

中低速のコーナーがテンポよく組み合わされ、長短のストレート区間と高速コーナーも所々に現れる。
こんなにバリエーション豊かで、走って楽しく、腕も磨けるコースはそうそうありません。
自分が反復練習する区間はある一定の区間のみですが、それでもコース長はそこそこ長い。
コースレイアウトを覚えるのにはちょうど良い距離で、しかも飽きることがないという絶妙な長さ。
ここを行ったり来たりするだけで、エスをコントロールする感覚が研ぎ澄まされていくようです。

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本日の朝練は、長らくツーリングセットのまま変えてなかったダンパーの減衰設定を、より気持ちの良い領域を探りながら走り込むことをテーマにしました。
最初に試したセットはリアのグリップ感が希薄で、アクセルオン時にリアタイアの面圧が伝わってこない感じ。
放射温度計で計っても、リアタイヤのアウト側だけ使い切れていない状態でした。

減衰を調整してリアの動きを少しだけ多めにしてみると、アウト側のリアにいい感じに荷重がかかります。
それでもリアタイヤのアウト側だけ温度が若干低い状態でしたが、感触的にはイイ。てゆうか、ここ最近では抜群。
最後は結局ドライバーの感覚ですが(笑)、この日の集中特訓の収穫は少なくなかったですね。

セッティングが何となく出たことだし、ガソリンも少なくなってきたので、霧の駅にて大休止。
走り出しの頃とは打って変わって、どんどんクルマとバイクが山を上がってきます。
エリーゼ軍団に混じって、KTM X-bowが2台、そしてマクラーレンも。初めて生で見ました。

この梅雨の最中にビンテージカーのイベントでもあったのでしょうか。
ゼッケンナンバーを付けたポルシェ356やメルセデスSLが、何台も駆け上がっていくのを間近で眺めることができました。
いいですね。歳をとって今のツーリングスタイルが辛くなったら(笑)、ああいうイベントに参加できたらなぁ。
その時もエスに乗ってて、エスで参加するのかな俺。

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そんな感じで朝練後の時間を楽しんでいると、ムラサキ色のS2000が駐車場に入ってきました。
ドライバーは、このブログでもお馴染みのSho-zさん。昨年の3月に、西伊豆スカイラインでお会いして以来の再会です。

その間いろいろあって、BMWからS2000に乗り換えられたSho-zさんとエス談義。
AP2をまじまじと見るのは初めてでしたので、いろいろ比較してしまいました。

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【Sho-z AP2

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【1059 AP1

ビーナスラインを共に下りた後、麦草峠に向かうことにしました。途中からは後追いで。S2000をS2000で追いかけるのは新鮮です(笑
片や現代的電子制御が付加されたS2000、片や前時代的なスポーツカーのS2000。
モデル期間が長かったS2000ゆえ、似ているようで似ていないAP1とAP2。

でもワインディングを疾走する挙動は、どこをどう見てもS2000のそれであって、前述のような大きな差があるとは思えませんでした。
コーナーの抜け方も加速もブレーキングも、挙動はすべてシンクロする。同じクルマで連れ立って走る楽しみは、まさにそこにあるような気がします。

2016 06 11 04

何だかんだで、最後までお付き合いいただきました。(連れ回しちゃって申し訳ありません)
ソロで走りまくるのもいいですが、こうやって走り好きの同士と引っ張り合うのも楽しいですね。

 Posted by at 8:57 PM
6月 092016
 

2016 06 09 01

週末の予定が急に飛んでしまい、ぽっかりと時間が空いてしまいました。

天気予報をふと見れば、少なくとも土曜日は悪くなさそう。
これは、、、ビーナスラインリベンジのチャンスかも!?

また朝寝坊しなければだけどね(笑

 Posted by at 10:48 PM