2月 132012
 

家の計画を自分がしたいということを、直接工務店にお願いしたわけではありません。
彼らには彼らなりのノウハウやプライドを持って計画しているわけですから、そこを上手く取り入れつつ、基本的な計画や仕様に関しては、自分が手を動かして決めていきたいと思っていました。

それでも、露骨に嫌がる工務店や設計者も過去にはいました。素人に設計ができるほど甘くはないので、それはある意味当然のことかもしれません。
自分が建築関連業界に身を置き、分野は異なれど同じライセンスで仕事をしているということを伝えた際の反応はあまり良くないのが通例でしたが、今回お願いした工務店は割と好意的に受け取ってくれたと思います。

工務店からプランの提示は何度かありましたが、同時並行で計画をして、仮見積段階で基本計画レベルの図面をこちらから提示しています。そしてそれを元に、工務店の設計者が図面を起こし、自分と工務店のアレンジを加えて最終的な設計となっています。

建築確認申請は工務店にお任せ。さすがに本業の傍ら図面を揃えたり公的な手続きを自分でするほどヒマではないので、基本デザインと仕様決定以外の作業的な部分は、工務店にお任せしています。

よく勘違いされますが、図面を作成することが設計の全てではありません(もちろんそれも重要な設計作業の一部ではありますが)。もっと大きな視点で、物事を整理しまとめていくことが「設計」という世界なのではないかと思ってます。
そういった意味では、かなり理想的な役割分担で設計が進められたのではないかと思います。

 

また、工務店を選択する際に、実現したい家を実際に構築できるか、という技術的な部分と体制が揃っているかということも重要でした。

R style Houseを構想する時、car pitを設けることはほぼ最初からイメージしていました。また、ボリュームの大きな居住空間もごく初期に着想しています。
つまり、家の内部にそれなりに大きな空間をつくりたいという与件が初期から発生していたので、それが構築できる工法が必要であることが予測できていました。

これらの大空間を力学的に成立させるには、構造的にそれなりの知恵と技術が必要です。
わかりやすく書いてしまうと、通常の木造では、柱と柱の間の距離(スパン)はそれほど大きく取ることができません。できません、というのはちょっと語弊があるかもしれませんが、とても難しいのが実際のところです。

特に今回のcar pitは2台並列に並ぶだけのボリュームがあるわけですから、横方向のスパンは約5mにも及びます。しかも、その上部にも荷重のかかる床がある状態。これは木造ではとても難しい構造です。
鉄骨造やRC造だと実現できますが、コスト的に難しい。規模的にも木造で構築するのが現実的な中で、どうやって大空間を実現するか。
それができる工法を採用し、実績を重ねていたというのも、工務店選択の大きな要因でした。

 

そんな与条件をクリアしたのが、今回お願いしている工務店。
もちろん「人柄」っていうのもありますが、それはどんな業種でも、お付き合いする上での基本中の基本ですからね。

会社が小さいことはマイナスではなく、むしろプラスに捉えています。
住宅はむしろアフターの対応が重要になってくるので、できるだけ近所ですぐに対応してくれる機動力があって、かつ会社のトップに直接話ができる関係が大切かと。まぁお付の大工みたいな関係ですね。

小さいがゆえのチェック体制の不備など、足りない部分もそれなりにありますが、それなりに良い関係を築きながら、今日まで一緒にやってきています。

 Posted by at 4:24 PM